A4チラシは何ピクセルで作る?──dpiとmm⇔px換算の考え方
印刷用のデータをピクセルで作れと言われて、A4は何pxか分からず困ったことはないでしょうか。dpiは1インチあたりの点の数、pxはmmから換算できる値です。A4を300dpiで作ると2480×3508pxになる理由と、Web用72/96dpiとの違い、塗り足し3mmまで整理します。
印刷会社から「A4サイズ、300dpiでデータを作ってください」と言われて、「A4って何ピクセルなの?」と検索した経験はないでしょうか。あるいはWebデザインのつもりでピクセル指定していたら、印刷したらガタガタの画質になってしまった、ということもあるかもしれません。
これは単位の違いを知らないまま作業してしまうことが原因です。
結論を先に書きます。
dpiは「1インチあたりに何個の点(ドット)を打つか」を表す密度で、px(ピクセル)はmm(実寸)とdpiから逆算して決まる値です。A4を印刷用の300dpiで作ると、サイズは2480×3508pxになります。
dpiとは「1インチあたりの点の数」
**dpi(dots per inch)**は、1インチ(約25.4mm)の中に、何個の点を敷き詰めるかを表す密度の単位です。同じ1インチの中でも、300dpiなら300個の点が並び、72dpiなら72個しか並びません。
つまりdpiが高いほど、同じ実寸の中により多くの情報(点)を詰め込めるため、印刷したときに滑らかで精細に見えます。逆にdpiが低いまま拡大印刷すると、点と点の間隔が広がってしまい、ジャギー(ギザギザ)や粗さが目立つ結果になります。
px(ピクセル)はmmから計算して求める
pxは「画面や印刷物を構成する最小の四角い点の数」そのものです。実寸(mm)を基準に、dpiを使って次の式で求められます。
px = mm ÷ 25.4 × dpi
25.4は「1インチ=25.4mm」という換算定数です。つまり「実寸が何インチ分あるか」を出してから、dpi(1インチあたりの点数)を掛け合わせる、という計算になります。
具体例で確認してみます。A4サイズ(210mm × 297mm)を300dpiで作る場合です。
| 辺 | 計算式 | 結果 |
|---|---|---|
| 横(210mm) | 210 ÷ 25.4 × 300 | 約2480px |
| 縦(297mm) | 297 ÷ 25.4 × 300 | 約3508px |
つまりA4・300dpiのデータは 2480px × 3508px で作れば、印刷会社が指定する解像度をきっちり満たせます。
dpi別に見るA4サイズの違い
同じA4という実寸でも、指定するdpiによって必要なピクセル数はまったく変わります。
| dpi | 用途の目安 | 横×縦(px) |
|---|---|---|
| 72dpi | 昔のWeb表示基準 | 595 × 842px |
| 96dpi | 現在のWeb標準 | 794 × 1123px |
| 150dpi | 簡易印刷・社内資料 | 1240 × 1754px |
| 300dpi | 商業印刷の標準 | 2480 × 3508px |
| 350dpi | 高精細な写真集など | 2894 × 4093px |
同じ「A4」という言葉でも、Web用の96dpiで作ったデータ(794×1123px)をそのまま印刷に回すと、印刷用の300dpiに対して解像度が3分の1以下しかなく、拡大されてボケた仕上がりになります。逆に印刷用の300dpiデータをそのままWebに載せると、ファイルサイズが不必要に大きくなります。「何に使うデータか」で先にdpiを決めてからpxを計算するのが正しい順番です。
Web用72/96dpiと印刷用300dpiがそもそも違う理由
なぜWebは72や96dpiが基準で、印刷は300dpiが基準なのでしょうか。これは見る距離と表示方法の違いによるものです。
- 画面(Web)…ピクセルが発光して見える。人の目は画面をある程度の距離から見るため、72〜96dpi相当の密度で十分に滑らかに見える
- 紙(印刷)…インクの点を紙に定着させて表現する。手に取って近距離で見られるため、より高い密度(300dpi前後)がないと粗さが目立つ
Web用のデータと印刷用のデータで「同じピクセル数」を使っても、見る距離や媒体の特性が違うため、必要な密度も変わるということです。Web用に作った画像をそのまま入稿すると解像度不足になりやすいのは、この基準の違いが理由です。
塗り足し3mmを忘れない
印刷データを作る際、A4サイズぴったりで仕上げると、断裁時のわずかなズレで端に白い余白が出てしまうことがあります。これを防ぐため、仕上がりサイズの外側に塗り足し(ブリード)と呼ばれる余分な領域を3mm足して作るのが印刷業界の標準です。
つまりA4・300dpiの実際の入稿データは、210mm×297mmではなく、塗り足しを含めた216mm×303mm(片側3mm×2辺) で作り、断裁線を意識してデザインを配置する必要があります。pxに換算すると、300dpiでは約2551px × 3579pxが塗り足し込みのサイズです。
自分のサイズで計算したいときは
「A3なら何pxになる?」「350dpiで名刺サイズを作りたい」など、サイズやdpiが変わるたびに手計算するのは面倒で、25.4での割り算を間違えるミスも起きがちです。用紙・解像度を整える では、mmとpxの換算やdpiごとのサイズをアニメーションで見ながら確認できます。
まとめ
- dpi=1インチあたりの点の数。高いほど印刷が精細になる
- px = mm ÷ 25.4 × dpi で実寸から逆算する
- A4を300dpiで作ると2480×3508pxになる
- Web用は72〜96dpi、印刷用は300dpiが標準。見る距離と媒体特性の違いが理由
- 印刷入稿は仕上がりサイズの外側に塗り足し3mmを足して作る
- 換算は**用紙・解像度を整える** で確認するのが早い
「pxとmm、dpiがどう繋がっているか」さえ分かれば、印刷会社とのやり取りも、Web用データの使い回しも、迷わず判断できるようになります。