ネットワークを整える
初級DHCPを整える。
= PCがIPアドレスをもらう「4往復の会話」が見える
ネットワークのどこの話? 家や会社の中(LAN)で、つないだ端末に IP アドレスなどの設定を自動で配る話です。OSI 参照モデルの上のほう(アプリケーション層)の仕組みで、UDP を使います(OSI参照モデル)。
DHCP が初めての方は、先に そもそも DHCP とは・どんな場面で使うか をどうぞ。
アニメで見る — PCがIPアドレスをもらうまで(DORA) 開くと1ステップずつ動きます
PC
これから繋ぐ端末
DHCPサーバ
(ルーター内蔵も多い)
STEP 1
※ イメージ図です。実際のDHCP通信は行いません(送信ゼロ)。
💡 ポイント: 最初はPCにIPが無いので、宛先を指定できずブロードキャスト(同じネットワークの全員に向けて叫ぶ)で始まります。 IPが正式に決まる④Ackの後は、もう叫ぶ必要がありません。
そもそも DHCP とは
つないだだけで住所が決まる、自動の受付係。
DHCPは Dynamic Host Configuration Protocol の略で、ネットワークにつないだ機器に、IPアドレスなどの設定を自動で貸し出す仕組みです。借りたアドレスには期限(リース)があり、期限が来たら更新するか返すかが決まります。
ホテルのフロントで部屋の鍵を渡してくれるのに似ています。宿泊客(パソコンやスマホ)は、自分で空き部屋を探さなくても、受付に頼めば空いている部屋番号(IPアドレス)をもらえます。
どこで・どんな場面で使うか
-
家庭のルーター
ほとんどの家庭用ルーターが DHCP サーバーの役目をしていて、つないだスマホやパソコンに自動でアドレスを配ります。
-
会社の Wi-Fi・会議室
来客や社員の端末が次々つながる環境では、手作業で設定せず、DHCP で配るのが前提です。
-
プリンターやサーバーのアドレスを固定したいとき
DHCP の予約(MAC アドレスで指定)を使うと、自動配布のままで同じアドレスを渡せます。
-
部署ごとにネットワークを分けているとき
部署ごとの範囲を配る設定や、別ネットワークの DHCP サーバーへ取り次ぐ DHCP リレーの設定を行います。
-
資格試験
CCNA の IP Services の範囲に含まれ、基本情報技術者試験でもネットワークの基本用語として出てきます。
知らないと何が困るか
- 「つながらない」の原因を見つけにくい。アドレスが配られていないのか、別の原因なのかを切り分けられません。まず DHCP が働いているかを見るのが定番です。
- 手作業の設定でアドレスが重なる。自分でIPアドレスを入れた機器と、自動で配られたアドレスが重なると、通信が不安定になります。
- 設定画面の項目の意味が分からない。「リース時間」「配布範囲」などの項目の意味を知らないと、ルーターの設定を安全に触れません。
上のアニメで、PCがアドレスをもらうまでの会話を順に追ってみてください。
リース
② リースの一生 — もらったIPには「期限」がある
DHCPで配られるIPアドレスは「借り物」(リース)で、期限が来たら失効します。ただし普段は満了ギリギリまで待たず、 こっそり半分の時点で更新(Renew)を試みています。リース時間を入れて、タイムラインを見てみましょう。
開始 —h
Renew(T1・50%) —h
Rebind(T2・87.5%) —h
満了
① Renew(更新要求・T1)
—
リースの50%地点。もとのDHCPサーバへこっそり更新を頼みます(普段はこれだけで完了)。
② Rebind(再バインド・T2)
—
リースの87.5%地点。元のサーバから応答が無い時、今度は再ブロードキャストして他のサーバにも聞きます。
③ Expire(満了)
—
ここまでに誰からも更新できなければ、IPは失効。最初からDORAをやり直します。
💡 更新は普段こっそり半分の時点(Renew/T1)で行われます。ネットに繋がったまま気づかないうちに済んでいるのが正常な姿で、 満了間際まで待つのは「元のサーバが応答しない」異常時だけです。
トラブル対処
③ もらえる4点セットと、うまくいかない時のサイン
DHCPは1つの数字(IPアドレス)だけでなく、通信に必要な設定をひとまとめで配ります。代表的な4点セットはこちら。
| 配られるもの | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| IPアドレス | この端末自身の住所 | 192.168.1.50 |
| サブネットマスク | どこまでが同じネットワークかの区切り | 255.255.255.0 |
| デフォルトゲートウェイ | 外(別ネットワーク)へ出る時の出口=ルーター | 192.168.1.1 |
| DNSサーバ | 名前(example.com)をIPに変換してもらう相手 | 192.168.1.1 / 8.8.8.8 など |
⚠ 169.254.x.x が出たら「DHCPからもらえていない」サイン
169.254.0.0/16 は
APIPA(Automatic Private IP Addressing)という、OSが自分で割り振る「仮の住所」です。
DHCPサーバに一定時間問い合わせても応答が無いと、端末がこの範囲から自己判断でIPを割り当てます。
つまり169.254で始まるIPが見えたら、DHCPとの会話(DORA)がどこかで失敗しているということ。
実務での鉄則:「インターネットに繋がらない」→ まず ipconfig(Windows)/
ifconfig系(Mac/Linux)で APIPA になっていないか確認。
169.254なら「そもそもDHCPサーバに届いていない/応答が来ない」方向で原因を疑います。
ありがちな失敗・3つ
- 1
スコープ枯渇
DHCPサーバが配れるIPの範囲(スコープ)を使い切ると、新しい端末にIPを配れなくなります。会議室にPCやスマホが集中する環境などで起きがちです。
- 2
不正なDHCPサーバ(野良DHCP)
誰かが持ち込んだルーター等が意図せずDHCPサーバとして動くと、Discoverへ正規サーバより先に(あるいは誤った設定で)応答してしまうことがあります。防御策としてDHCPスヌーピング(信頼できるポート以外からのDHCP応答を破棄するスイッチ機能)があります。
- 3
「インターネットに繋がらない」→ まずAPIPA確認
切り分けの第一歩は
ipconfig。169.254.x.xが出ていれば「DHCPと会話できていない」ことが即座に分かり、ケーブル・Wi-Fi接続やDHCPサーバの稼働状況の確認に進めます。
CCNA DHCP(DORA・リース更新・APIPA)は CCNA の出題範囲「IP Services」に含まれるテーマです。
🔒 このページはアニメ・タイムライン計算とも、すべてこの端末(ブラウザ)内で完結します。実際のDHCP通信・外部への問い合わせは一切行いません(送信ゼロ)。
📘 CCNA ではここが問われる(200-301 v1.1・IP Services)
- DHCP の役割(IP アドレス・サブネットマスク・デフォルトゲートウェイ・DNS の自動配布)と、DORA の 4 往復(Discover・Offer・Request・Acknowledge)
- ポートは、サーバーが UDP 67・クライアントが UDP 68。Discover はブロードキャストで送られます
- DHCP サーバーが別のネットワークにあるときは、ルーターが中継します:クライアントに面したインターフェースで
ip helper-address サーバーのアドレス(DHCP リレー) - ルーター自身がクライアントになるときは、インターフェースで
ip address dhcp - Cisco ルーターを DHCP サーバーにする設定(
ip dhcp pool・network・default-router・dns-server・ip dhcp excluded-address)。リース期間の既定は 1 日です - DHCP スヌーピング(信頼するポートだけから Offer を受ける)はセキュリティの範囲で問われます。確認は
show ip dhcp binding
配られるアドレスの範囲は サブネット と IP アドレス で。名前から住所を引く DNS とセットで使われます。設定が配れないときの切り分けは traceroute や ネットワーク全体図 も手がかりに。
たとえると
ホテルのフロントで部屋の鍵を借りるのに似ています。到着した客(パソコン)が「泊まれる部屋はありますか」と呼びかけ、フロント(DHCP サーバー)が空き部屋を案内し、客が「ではその部屋で」と伝え、鍵が渡されます。鍵には期限(リース)があり、期限が近づいたら延長を頼むか、返して出ていきます。
このツールは、ネットワーク全体図のここ
- 自分の端末
- 家・会社の中
- 出入口
- 建物の外
- 相手のサーバー
- データセンター
- 見る・動かす
建物の出入口(ルーター)— 端末に、住所(IP アドレス)を自動で貸し出す係の話です。
建物の出入口は、会社の受付と郵便の仕分け係のような場所です。OSI では第7層(アプリケーション)。
「ブラウザで URL を打ってからページが出るまで」の 2 番目(DHCP で自分の住所をもらう)で活躍します。
前の段: ケーブルの種類・光・PoEの早見 次の段: DNSレコード
このページに出てくる略語(5語)
- APIPA (Automatic Private IP Addressing) — DHCP から住所をもらえないとき、端末が自分で付ける 169.254 から始まる住所
- RARP (Reverse Address Resolution Protocol) — ARP の逆向きで、MAC アドレスから IP アドレスを聞く古い決まりごと
- DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol) — 端末に IP アドレスなどを自動で貸し出す決まりごと
- DORA (Discover, Offer, Request, Acknowledge) — DHCP で住所をもらうまでの4回のやりとりの頭文字
- DHCP Snooping (Dynamic Host Configuration Protocol Snooping) — 偽の DHCP サーバーの返事を捨てる、スイッチの守りの機能
このツールについて
PCが電源を入れてからIPアドレスをもらうまで、裏側では4回のやり取り(DORA)が交わされています。その会話をアニメで見て、リース(貸与)期間の一生をタイムラインで確認し、169.254.x.x(APIPA)が出た時の意味まで整理します。実際のDHCP通信は行いません(送信ゼロ)。
IPはDORAの4往復でもらう(最初はブロードキャストで叫ぶ)。更新はリースの半分の時点でこっそり。169.254.x.xが出たらDHCP失敗のサイン。
主な機能
- DORA 4ステップをボタンで順に再生(各メッセージの要点つき)
- リース期間→更新(50%)・再要求(87.5%)・満了のタイムライン計算
- DHCPが配る4点セット(IP/マスク/GW/DNS)の早見
- APIPA(169.254.x.x)=取得失敗サインの実務トラブルシュート
- 不正DHCPへの防御(スヌーピング)の一言
- すべてブラウザ内・送信ゼロ
よくある質問
Q. DHCPのDORAとは何ですか?
A. Discover→Offer→Request→Ackの4手順で、PCが起動時にIPアドレス一式をもらう会話です。
Q. なぜDiscoverはブロードキャストなのですか?
A. PCはまだIPを持たず、DHCPサーバの場所も知らないため、宛先を指定できずネットワーク全体に「誰かIPをください」と叫ぶしかないからです。
Q. リースの更新はいつ行われますか?
A. 通常はリース時間の50%地点で、もらったDHCPサーバへこっそり更新要求(Renew)します。利用者が意識することはほぼありません。
Q. 更新に失敗したらどうなりますか?
A. 87.5%地点で他のDHCPサーバにも再ブロードキャストで問い合わせます(Rebind)。それも失敗するとリース満了でIPを失い、DORAをやり直します。
Q. 169.254.x.x が表示されたらどうすればいい?
A. APIPA(自己割当アドレス)で「DHCPからもらえていない」サインです。ケーブルやWi-Fi接続、ルータ(DHCPサーバ)の稼働を確認してください。
Q. 不正なDHCPサーバはどう防ぎますか?
A. スイッチのDHCPスヌーピング機能で、信頼したポート以外から来るDHCP応答を破棄する方法が代表的です。
Q. このページは実際にDHCP通信をしますか?
A. しません。アニメも計算もすべてブラウザ内で完結する送信ゼロのツールです。
入力値はURLの「#」以降に入るためサーバーには送信されません。リンクを開くと同じ状態を復元します。
続けて整える
この内容は、研修でも扱っています
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