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雑学・読み物

東京→パリはなぜ北回り?──地球儀を見ないと解けない飛行ルートの謎

東京発ニューヨーク行きの便が離陸直後に北へ向かう不思議、東京→パリがシベリア・北極寄りを飛ぶ理由を、地球儀と平面地図の違い=大圏コースという発想から解説します。

飛行機の機内モニターで自機の位置を眺めていたら、東京発ニューヨーク行きの便が離陸してしばらく北へ北へ進んでいくのを見て、「え、ニューヨークって東じゃないの?」と戸惑ったことはないでしょうか。世界地図で見れば、東京からニューヨークは右(東)に進んだ先にあるはずなのに、実際の飛行機は北海道の上空を越え、アラスカやカナダの方角へ向かっていきます。

結論を先に書きます。

世界地図が平らに引き伸ばされているせいで、地球儀の上では最短距離になる道が、平面地図の上では遠回りに見えてしまうのが正体です。地球は球体なので、2点間の最短ルートは直線ではなく「大圏コース(グレートサークル)」と呼ばれる曲線になります。


平面地図が生む錯覚

世界地図として最も広く使われるメルカトル図法は、球面を平らな紙に写すために高緯度になるほど東西方向を大きく引き伸ばしています。グリーンランドが実際の面積以上に巨大に見えるのはこのせいです。

この引き伸ばしのせいで、地図上ではまっすぐな線に見えるルートが必ずしも最短とは限りません。逆に、地球儀に紐をピンと張って2点を結ぶと、平面地図の上では弧を描いて北へふくらむ線になることがよくあります。これが大圏コースです。

球面上の2点を結ぶ最短経路は、必ず地球の中心を通る平面とその球面が交わる円(大円)の一部になります。緯線(赤道以外)はこの条件を満たさないため、東西に一直線に見える移動が実は遠回りになる、という直感に反する結果が生まれます。

東京→ニューヨークが「北へ」出発する理由

東京とニューヨークは、ともに北半球のかなり高い緯度に位置しています。この2点を地球儀上の大円で結ぶと、経路はいったん北極に近づいてからニューヨークへ下りていく弧になります。

見え方平面地図地球儀(大圏コース)
東京→ニューヨーク太平洋を横切り右へ一直線一度北上し、アラスカ・カナダ上空を経由
距離の実感遠回りに見えるこちらが実際には最短

離陸直後に北へ向かう便の動きは、パイロットが道に迷っているのではなく、球体である地球の上で最短距離を選んだ結果なのです。

東京→パリがシベリア・北極寄りを飛ぶ理由

同じ理屈で、東京からヨーロッパへの便もシベリア上空や北極に近い高緯度ルートを飛ぶことがあります。東京もパリもともに北緯35〜49度あたりの中緯度に位置しており、この2点を結ぶ大円は、地図の上では北へふくらむ弧を描きます。

なお実際の飛行ルートは、大圏コースを土台にしつつ、上空の風(ジェット気流)・領空の許可・燃料効率などの事情で調整されます。特定の国の上空を避ける必要が生じた場合は、大圏コースから外れて南寄り・北極海寄りに大きく迂回することもあり、その年々の情勢によってルートは変わり得ます。この記事で扱っているのはあくまで「最短距離の原理」であり、実際の便のルートは航空会社の公式情報で確認するのが確実です。

地球儀の感覚を数字で持っておく

大圏コースの発想は、旅行や国際便を考えるときの距離感を大きく変えてくれます。「地図の上での近さ」と「実際の距離」は別物だと知っているだけで、乗り継ぎ便のルート選びや「なぜこの空港を経由するのか」といった疑問にも説明がつくようになります。

主要都市間の実際の距離をざっくり掴んでおきたいときは、世界の距離を整える で2都市を選ぶだけの概算が確認できます。地図上の見た目の近さに惑わされず、地球儀の感覚で距離を掴んでおくと、次に飛行機のルートマップを見たときの「なぜこっちに飛ぶんだろう」がすっと腑に落ちるはずです。

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