愛知県の製造品出荷額は全国の約15.5%──2位の約3倍で、1人当たりでは1位ではない
2024年実績の製造品出荷額等で愛知県は約59.3兆円、全国の約15.5%を占め、2位の大阪府の約3倍です。ただし従業者1人当たりに直すと1位は大分県で愛知県は5位。総額と効率で順位が入れ替わる理由を、経済構造実態調査の公表値で整理します。
この記事のポイント
- 愛知県は59.3兆円で全国の約15.5%、2位の大阪府の約3倍
- 総額の1位と、従業者1人当たりの1位は別の県になる
- 「製造品出荷額を整える」で47都道府県の値と順位を見比べられる
- Q.
- 製造品出荷額が日本一の都道府県はどこ?
- A.
- 愛知県です。2024年実績の製造品出荷額等は59.3兆円で、全国381.7兆円の約15.5%を占めます。2位の大阪府の約3倍にあたります。
「愛知県は工業が盛ん」と言われますが、具体的にどれくらい突出しているのかは、数字を並べてみないと実感しにくいものです。
結論を先に書きます。
2024年実績の製造品出荷額等で、愛知県は約59.3兆円で全国の約15.5%を占め、2位の大阪府(約19.8兆円)の約3倍です。 一方で、従業者1人当たりの出荷額に直すと1位は大分県で、愛知県は5位になります。総額の順位と効率の順位は、別の物差しとして分けて読むのが正確です。
出荷額の上位10都道府県
使うのは、総務省・経済産業省の「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」の2024年実績です(2025年調査・2026年7月公表)。旧・工業統計調査の後継にあたる統計で、数字は当サイトの 製造品出荷額を整える が保持している公表値です。全国の製造品出荷額等は約381.7兆円(381,654,011百万円)です。
| 順位 | 都道府県 | 製造品出荷額等 | 全国シェア | 従業者数 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 愛知県 | 59.3兆円 | 15.54% | 835,442人 |
| 2 | 大阪府 | 19.8兆円 | 5.19% | 438,245人 |
| 3 | 静岡県 | 19.8兆円 | 5.18% | 400,319人 |
| 4 | 兵庫県 | 19.5兆円 | 5.11% | 360,797人 |
| 5 | 神奈川県 | 18.7兆円 | 4.90% | 358,808人 |
| 6 | 千葉県 | 16.0兆円 | 4.19% | 209,141人 |
| 7 | 埼玉県 | 15.3兆円 | 4.01% | 380,975人 |
| 8 | 茨城県 | 15.2兆円 | 3.98% | 270,395人 |
| 9 | 三重県 | 13.0兆円 | 3.41% | 200,139人 |
| 10 | 福岡県 | 11.5兆円 | 3.01% | 227,898人 |
2位の大阪府から5位の神奈川県までは4.9〜5.2%の間に4府県がひしめいていますが、愛知県だけが15.5%で別の水準にあります。
愛知県の差の大きさを3つの角度で見る
愛知県の突出ぶりは、次のように言い換えられます。
- 2位の大阪府(19,804,868百万円)に対して、愛知県は59,314,388百万円で約3.0倍
- 2位から4位の大阪府・静岡県・兵庫県の合計(約59.07兆円)よりも、愛知県1県の方が約0.24兆円多い
- 市区町村で見ると、全国1位は愛知県の豊田市で21,209,678百万円。これは愛知県全体の約35.8%にあたる
つまり愛知県の数字は、県内に工場が広く分布しているだけでなく、1つの市の規模が大きいことにも支えられています。市区町村トップ30は 製造品出荷額を整える で確認できます。
総額ではなく従業者1人当たりで並べ替えると
出荷額は工場の数や働く人の数が多いほど大きくなります。そこで、製造品出荷額等を従業者数で割り、1人当たりの出荷額を計算し直してみます。
| 順位 | 都道府県 | 1人当たり出荷額 | 計算(出荷額÷従業者数) |
|---|---|---|---|
| 1 | 大分県 | 約8,700万円 | 5,744,837百万円÷65,999人 |
| 2 | 千葉県 | 約7,640万円 | 15,987,053百万円÷209,141人 |
| 3 | 山口県 | 約7,610万円 | 7,349,153百万円÷96,622人 |
| 4 | 愛媛県 | 約7,110万円 | 5,732,896百万円÷80,603人 |
| 5 | 愛知県 | 約7,100万円 | 59,314,388百万円÷835,442人 |
全国の合計で計算すると、1人当たりは約5,010万円です。愛知県の約7,100万円は全国より高く、5位に入ります。ただ1位は従業者が約6万6千人の大分県で、総額では愛知県の10分の1にも届きません。
この順位の入れ替わりは、業種の構成によって、少ない人数で大きな出荷額になる県と、多くの人手を要する県があることから起きます。ただし、ここで計算したのは「出荷額÷従業者数」だけで、利益や付加価値を測ったものではありません。1人当たりが高いことを、そのまま賃金の高さや豊かさと読むことはできません。
「約15.5%」の中身を、人数・事業所数と比べる
愛知県のシェアを、出荷額以外の項目でも計算してみます。47都道府県の合計に対する愛知県の割合です。
| 項目 | 愛知県 | 47都道府県の合計 | 愛知県の割合 |
|---|---|---|---|
| 事業所数 | 17,695 | 214,719 | 約8.2% |
| 従業者数 | 835,442人 | 7,612,095人 | 約11.0% |
| 製造品出荷額等 | 59,314,388百万円 | 381,654,010百万円 | 約15.5% |
事業所の割合は約8.2%、従業者の割合は約11.0%ですが、出荷額の割合は約15.5%と、項目が進むにつれて大きくなります。事業所数のうえでは全国の約12分の1にすぎない愛知県が、出荷額では約6.4分の1を占めるということです。事業所1つ当たりの規模が大きく、1人当たりの出荷額も全国平均を上回っていることが、このシェアの差につながっています。
「出荷額が1位」という結果は、工場の数だけでは説明がつきません。事業所数と従業者数で2番手の大阪府と比べると、従業者は愛知県が約1.9倍、出荷額は約3.0倍です。人数の差より出荷額の差の方が大きいため、1人当たりの出荷額が高いという先の計算とも整合します。
総額と効率、どちらで読むか
用途によって使い分けると誤読が減ります。
| 知りたいこと | 向いている物差し |
|---|---|
| 日本の製造業の中での存在感・規模 | 製造品出荷額等の総額と全国シェア |
| 働く人数に対する出荷額の大きさ | 従業者1人当たりの出荷額(ただし業種構成の影響を受ける) |
| 1事業所の平均的な規模 | 出荷額÷事業所数 |
事業所数で見ると、愛知県は17,695で大阪府の17,995に次ぐ全国2番目で、大阪府とほぼ同じです。1事業所当たりの出荷額は愛知県が約33.5億円、大阪府が約11.0億円と、約3倍の開きがあります。大阪府は小規模な事業所が多く、愛知県は1事業所当たりの規模が大きいことが数字に表れています。
読むときの注意点
- 製造品出荷額等は「出荷した製品の金額」で、利益や付加価値ではありません。
- 数字は2024年の1年分です。年によって順位が動く県はありますが、ここでは過去との比較はしていません。
- 市区町村別は、統計上の秘匿(***)となった市区町村を含みません。
- 東京都は9.4兆円で全国16位です。都内に本社が多くても、出荷額は工場のある場所で数えるためです。
まとめ
愛知県は製造品出荷額等が約59.3兆円、全国の約15.5%を占め、2位の約3倍です。ただし従業者1人当たりでは大分県が1位で、愛知県は5位です。総額で見るか、1人当たりで見るかで、1位の県が入れ替わります。
47都道府県の出荷額・全国シェア・事業所数・従業者数は、 製造品出荷額を整える で1つの表にまとめて見られます。気になる県の数字を、割り算で自分でも確かめてみてください。