餃子の支出は浜松が1位、宇都宮は3位──家計調査ランキングの読み方
総務省統計局の家計調査(2023〜2025年平均)で、1世帯が1年に餃子(ぎょうざ)へ支払う金額は浜松市が4,051円で1位、宮崎市3,478円、宇都宮市3,192円と続きます。3年平均を使う理由と、標本の小ささ、購入額と食べた量の違いまで整理します。
この記事のポイント
- ぎょうざの年間支出は浜松市4,051円が1位、宇都宮市3,192円は3位
- 金額は購入の記録。食べた量ではなく、外食の餃子は別の項目になる
- 家計調査の順位は消費の日本一を整えるで品目別に確かめられる
- Q.
- 餃子の支出が日本一の都市はどこですか?
- A.
- 家計調査の2023〜2025年平均では、浜松市が年間4,051円で1位です。2位は宮崎市の3,478円、3位は宇都宮市の3,192円で、全国平均は1,984円です。これは二人以上の世帯が購入した金額の比較で、食べた量の順位ではありません。
「餃子の街」と聞いて思い浮かべるのは宇都宮市でしょうか。ところが、総務省統計局の家計調査で1世帯あたりの年間支出を比べると、最近の3年平均では浜松市が1位で、宇都宮市は3位です。
結論を先に書きます。家計調査(二人以上の世帯)の2023〜2025年平均で、ぎょうざへの年間支出は、1位が浜松市の4,051円、2位が宮崎市の3,478円、3位が宇都宮市の3,192円です。 全国平均は1,984円なので、浜松市は約2.04倍にあたります。この記事では、順位の表に加えて、なぜ3年平均を使うのか、どのくらい小さな標本から出た数字なのか、「支出が多い」を「たくさん食べている」と読んでよいのか、を整理します。
上位10都市の年間支出
統計局が公表している「品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2023年〜2025年平均)」のうち、品目「ぎょうざ」の上位10都市は次のとおりです。金額は1世帯あたりの年間の支出金額で、全国平均比は全国平均1,984円を1としたときの倍率です。
| 順位 | 都市 | 年間支出 | 全国平均比 |
|---|---|---|---|
| 1 | 浜松市 | 4,051円 | 約2.04倍 |
| 2 | 宮崎市 | 3,478円 | 約1.75倍 |
| 3 | 宇都宮市 | 3,192円 | 約1.61倍 |
| 4 | 大津市 | 2,455円 | 約1.24倍 |
| 5 | さいたま市 | 2,412円 | 約1.22倍 |
| 6 | 京都市 | 2,314円 | 約1.17倍 |
| 7 | 大阪市 | 2,261円 | 約1.14倍 |
| 8 | 鹿児島市 | 2,251円 | 約1.13倍 |
| 9 | 名古屋市 | 2,200円 | 約1.11倍 |
| 10 | 東京都区部 | 2,110円 | 約1.06倍 |
見てほしいのは、3位と4位の間の開きです。3位の宇都宮市は3,192円、4位の大津市は2,455円で、737円の差があります。一方、4位から10位までは2,455円から2,110円までの345円の幅に7都市が並んでいます。上位3都市が全国平均を大きく上回る別格のグループで、4位以下はなだらかに並ぶ、という形です。
下位を見ると、最下位は高知市の1,243円で、1位の浜松市は最下位の約3.26倍です。全国平均の1,984円を上回っているのは、対象の52都市のうち18都市です。
浜松市は県庁所在市ではない
このランキングの対象は、47の都道府県庁所在市と、県庁所在市ではない政令指定都市5市(川崎市、相模原市、浜松市、堺市、北九州市)の、あわせて52都市です。
浜松市は静岡県の県庁所在市ではなく、政令指定都市として入っています。静岡県の県庁所在市である静岡市の年間支出は2,007円で、浜松市の4,051円は、同じ静岡県の静岡市の約2.02倍です。同じ県でも、都市によって数字が大きく違います。「静岡県は餃子が多い」とも「少ない」とも、この表だけでは言えません。県単位の話として読まず、都市単位の数字として読むのが正確です。
なぜ3年平均なのか
統計局は、年ごとの結果ではなく、3年分をならした平均でこのランキングを公表しています。
家計調査は、全数を調べる調査ではなく、一部の世帯を選んで調べる標本調査です。統計局の説明によると、層化3段抽出法で市町村、単位区、世帯の順に選び、都道府県庁所在市と政令指定都市については、各市を1つの層としています。調査の対象は、単身世帯を含めて全国で約9,000世帯です。
この約9,000世帯を、全国の市町村に分けて調べます。1つの都市あたりの世帯数は、全国の合計に比べると、かなり少なくなります。少ない世帯の記録から出した数字は、たまたま餃子をよく買った世帯が入るかどうかで、年ごとに上下しやすくなります。3年分を平均すると、そうした偶然のぶれが小さくなり、都市どうしの比較がしやすくなります。
この点から、次の読み方が出てきます。
- 順位が近い都市どうしの差は、数百円であれば、調べた世帯が少ない分の誤差の範囲に入る可能性がある
- 1位の浜松市と3位の宇都宮市のように859円離れていても、年や調査期間が変わると順位が入れ替わることがある
- 「3年平均で1位」は、「毎年1位」とは違う
3年平均の期間が変わると(今回は2023〜2025年)、同じ品目でも順位や金額が変わります。引用するときは、期間と出どころを一緒に書いておくと、あとから読み返しても誤解が起きません。
「支出が多い」は「たくさん食べる」ではない
このランキングが示しているのは、調査に協力した世帯が、1年間に品目「ぎょうざ」の購入に使った金額です。次の点に注意が必要です。
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 食べた量ではない | 家計調査は購入の記録で、消費した量の調査ではない。買って冷凍庫に入れた分も、食べた分も、同じ購入額として入る |
| 外食は別の項目 | 品目「ぎょうざ」は「調理食品」のグループに入る。外食のグループには別に「中華食」などの項目があり、店で食べた分はそちらの扱いになる |
| 二人以上の世帯が対象 | 単身世帯は含まれていない。一人暮らしが多い都市では、世帯の構成の違いが数字に影響する可能性がある |
| 金額だけの比較 | このデータでは、ぎょうざは支出金額だけで、購入数量は載っていない。価格の違いは金額に混じる |
| 年間・1世帯あたり | 月ごとの金額ではなく、1年分の合計を、1世帯あたりに直した値 |
統計局のランキングは、金額が多い理由を説明するものではありません。名物として知られていることが理由なのか、スーパーでの買い方や店の数の違いなのかは、この数字だけでは判断できません。数字は事実として受け取り、理由は別の資料で確かめる、という使い分けが必要です。
順位を引用するときの書き方
文章や資料に「餃子の支出は浜松市が日本一」と書くときは、次の要素を入れておくと、誤読を防げます。
- 出どころ:総務省統計局「家計調査(二人以上の世帯)」
- 期間:2023〜2025年平均(3年平均)
- 対象:県庁所在市と政令指定都市の52都市
- 指標:1世帯あたりの年間支出金額(円)
「浜松市は餃子の消費量が日本一」と書くのは、購入額を消費量と読み替えているため、適切ではありません。「家計調査の3年平均で、ぎょうざの年間支出が最も多い」という書き方が、数字に忠実です。
他の品目の順位も確かめる
家計調査のランキングは、ぎょうざ以外にも、パンや麺類、魚介類、酒類など、多くの品目で公表されています。品目ごとに1位の都市が違い、全国平均との比も変わります。
消費の日本一を整える では、統計局の公表値をもとに、品目別の都市ランキングと全国平均比を一覧できます。ぎょうざの52都市すべての金額も、ここで確かめられます。数字は公表値のままで、順位と全国平均比の計算だけを当サイトで行っています。
出典
- 総務省統計局「家計調査(二人以上の世帯)品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2023年(令和5年)〜2025年(令和7年)平均)」
- 総務省統計局「家計調査の概要」(調査世帯の選定、調査の沿革)