サンマの漁獲量は北海道が1位、岩手・宮城が続く──都道府県別の偏りと数字の見方
農林水産省の海面漁業生産統計(令和6年確報)で、さんまの全国漁獲量は39,335トン。北海道が13,653トンで1位、岩手・宮城・福島が続き、上位4道県で約75%を占めます。偏りの大きさと、秘匿値や不漁の数字を読むときの注意点をまとめます。
この記事のポイント
- さんまは北海道が13,653トンで1位、上位4道県で全国の約74.7%
- 表の「x」は秘匿で0ではなく、県の合計と全国計も790トンずれる
- 「漁獲量を整える」で39魚種の47都道府県ランキングを確かめられる
- Q.
- サンマの漁獲量が一番多い都道府県はどこ?
- A.
- 農林水産省の令和6年(2024年)確報では、北海道が13,653トンで1位です。全国計39,335トンの約34.7%にあたります。2位は岩手県の6,428トン、3位は宮城県の5,202トンです。
さんまの季節になると、「今年は不漁」「今年は戻ってきた」というニュースが毎年のように流れます。ただ、どこで何トン獲れているのかを、都道府県別の数字で見る機会はあまりありません。
この記事では、農林水産省「海面漁業生産統計調査」の令和6年(2024年)確報の値で、さんまの漁獲量を都道府県別に並べます。結論は次のとおりです。
さんまの全国漁獲量は39,335トンで、1位は北海道の13,653トンです。北海道・岩手・宮城・福島の上位4道県で全国の約74.7%を占めます。 獲れる場所は、東北以北の太平洋側に大きく偏っています。
都道府県別の漁獲量
漁獲量がある8道県を、多い順に並べます(令和6年・単位はトン)。
| 順位 | 都道府県 | 漁獲量(トン) | 全国計に占める割合 |
|---|---|---|---|
| 1 | 北海道 | 13,653 | 34.7% |
| 2 | 岩手県 | 6,428 | 16.3% |
| 3 | 宮城県 | 5,202 | 13.2% |
| 4 | 福島県 | 4,094 | 10.4% |
| 5 | 富山県 | 3,714 | 9.4% |
| 6 | 長崎県 | 2,872 | 7.3% |
| 7 | 青森県 | 1,730 | 4.4% |
| 8 | 千葉県 | 852 | 2.2% |
全国計は39,335トンです。割合は、各県の値を全国計で割って小数第2位を四捨五入しています。
1位の北海道は、2位の岩手県の約2.1倍(13,653÷6,428)です。ただ1位の割合は約34.7%で、3分の1ほどにとどまります。1県だけが突出しているというより、北海道から福島までの太平洋側に、まとまって分布しているという形です。
どれくらい偏っているのか
上位4道県(北海道・岩手・宮城・福島)の合計は29,377トンで、全国計の約74.7%です。青森県を加えた5道県では31,107トンとなり、約79.1%に達します。
ほかの魚種と、1位の県の割合を比べると偏りの大きさが分かります。
| 魚種 | 全国計(トン) | 1位 | 1位の割合 | 漁獲がある都道府県数 |
|---|---|---|---|---|
| さんま | 39,335 | 北海道 | 34.7% | 8 |
| さけ・ます類 | 49,904 | 北海道 | 98.9% | 10 |
| いわし類 | 874,969 | 茨城県 | 24.2% | 37 |
| さば類 | 255,875 | 長崎県 | 36.9% | 37 |
さけ・ます類は北海道だけで約99%を占め、さんまよりさらに偏っています。反対に、いわし類やさば類は37都道府県で漁獲があり、広く分散しています。さんまは、その中間より集中している魚種だと言えます。
漁獲量が「ある」のは47都道府県のうち8道県だけです。29県は統計上「漁獲なし」(表では0)で、残りの10都県は値が出ていません。
「x」と調査対象外と0を読み分ける
この統計の表には、数字以外の記号が出てきます。意味が違うので、読み分けが必要です。
- 「x」(秘匿):ほかの都道府県の値から個別の数字が推測できてしまうため、公表されない値です。さんまでは、東京都と神奈川県が秘匿にあたります。漁獲量がゼロという意味ではありません。
- 調査の対象外:海に面していない県には、海面漁業の調査自体がなく、値がありません(このサイトの表では「—」と表示しています)。埼玉・群馬・栃木・山梨・長野・岐阜・滋賀・奈良の8県です。これも0とは別物です。
- 0:漁獲がなかった県です(元の統計表では「-」で示されます)。
実際に、8道県の値を足すと38,545トンで、全国計の39,335トンより790トン少なくなります。この差は、秘匿になっている都県の分などです。全国計と県の合計が一致しないのは、計算ミスではなく秘匿値があるためです。
1位の北海道は、この790トンを足しても順位が変わりません。ただ、上位の差が小さい魚種では、秘匿の県を含めると順位が入れ替わる可能性があります。
上位以外の県をどう読むか
5位の富山県は3,714トン、6位の長崎県は2,872トンで、どちらも太平洋側ではありません。7位の青森県は1,730トン、8位の千葉県は852トンです。富山県の値は、2位の岩手県の約58%(3,714÷6,428)にあたります。
この統計から分かるのは、どの県にどれだけの漁獲量があったかまでです。なぜその県で多いのか、という理由は、この表からは読み取れません。理由を知りたいときは、水産庁や水産研究所が出している資源や漁場の資料に当たる必要があります。数字の表と理由の説明は、別の資料で確かめるのが基本です。
数字を自分で確かめる手順
この記事の数字は、次の順で確かめられます。
- 農林水産省「海面漁業生産統計調査」の令和6年確報(2026年2月27日公表)から、魚種別・都道府県別の漁獲量の表を開きます。
- さんまの行で、都道府県ごとの値と全国計を読み取ります。
- 各県の値を全国計(39,335トン)で割り、割合を計算します。
- 県の値を足して全国計と比べ、差を確かめます。差は秘匿値の分です。
この順で見ると、「上位4道県で約74.7%」という数字も、自分の手で計算し直せます。
「不漁」の数字を見るときの注意
さんまは不漁がよく話題になりますが、数字を読むときは次の点に気をつけます。
- 1つの年の数字だけでは、増えたのか減ったのかが分かりません。 この記事の値は令和6年(2024年)の確報だけです。不漁かどうかを言うには、同じ統計の別の年と比べる必要があります。
- 対象は海面漁業だけです。 養殖業と、川や湖の漁業は別の調査で、この数字には含まれません。魚種によっては、養殖の分を含めた数字と並べると食い違います。
- 県ごとの数字が「どこで獲ったか」か「どこで水揚げしたか」かは、統計の定義で決まります。 漁場と県の数字が一致するとは限りません。県別の数字を使うときは、調査の定義を確かめてください。
- 確報と速報で数字が違います。 漁期中に報道される水揚げ量は、市場や団体の集計であることが多く、この統計の確報とは範囲も時点も異なります。
魚種ごとの順位を調べるには
さんま以外の魚種や、自分の住んでいる県の順位を調べたいときは、漁獲量を整える が使えます。農林水産省の同じ統計から、39魚種の47都道府県別の漁獲量と全国シェア、順位を一覧で確かめられます。秘匿値と調査対象外の県は、0と区別して表示します。
漁獲量の数字は、記号の意味まで読むと誤解が減ります。「x」と調査対象外と0は別のものだ、という点だけ覚えておくと、ほかの統計表を見るときにも役立ちます。