年3%で24年、年6%で12年──「72の法則」で複利の暗算をする
資産が2倍になる年数は、72を金利のパーセント数で割るだけでおおよそ求まります。ln2≈0.693という数学的根拠と、年3%・年6%・リボ払い15%を実際に当てはめた感覚を整理します。
「年利6%で運用したら、何年でお金が2倍になるか」を電卓なしで答えられるでしょうか。指数計算をきちんとやろうとすると面倒ですが、実はある1つの数字を割るだけで、かなり近い答えが暗算で出せます。
結論を先に書きます。
**「72 ÷ 金利(%)」を計算するだけで、資産がおよそ2倍になる年数が分かります。**これが「72の法則」です。年3%なら72÷3=24年、年6%なら72÷6=12年。この単純な割り算の裏には、$\ln 2 \approx 0.693$ という数学的な根拠がちゃんとあります。
なぜ72という半端な数を使うのか
複利で元本が2倍になる年数 t は、年利を r(例えば3%なら0.03)とすると、次の式で求まります。
(1+r)^t = 2
両辺の対数を取ると t = ln2 ÷ ln(1+r) となり、r が小さい範囲では ln(1+r) ≈ r と近似できるので、
t ≈ ln2 ÷ r = 0.693 ÷ r
という関係が見えてきます。r をパーセント表記に直すと t ≈ 69.3 ÷ 金利(%) となりますが、実用上は69.3よりも約数の多い72を使ったほうが、3・4・6・8・9・12のようなキリのいい金利で割り切れて暗算しやすいため、「72の法則」として定着しています。
実際の年数と、どれくらいズレるか
近似がどれくらい正確なのか、実際の複利計算と並べてみます。
| 年利 | 72の法則 | 実際の複利計算 |
|---|---|---|
| 3% | 72÷3=24.0年 | 約23.4年 |
| 6% | 72÷6=12.0年 | 約11.9年 |
| 9% | 72÷9=8.0年 | 約8.0年 |
| 15% | 72÷15=4.8年 | 約4.96年 |
金利が数%〜十数%程度の範囲では、誤差はおおむね1年以内に収まります。厳密な数字が欲しい場面には向きませんが、「だいたいこれくらいの年数感か」を一瞬でつかむには十分な精度です。
リボ払い15%に当てはめてみると
この法則は、資産運用だけでなく借りている側の金利にも同じように使えます。カードのリボ払いでよくある年率15%を当てはめると、72÷15=4.8年。つまり、返済をせずに放置すれば元金は5年足らずで倍になる計算です。
積立投資で「年3%なら24年でようやく倍」という感覚と、「借金は年15%なら5年足らずで倍」という感覚を並べてみると、同じ複利という仕組みでも、増える側と膨らむ側でこれほどスピードが違うということが実感として伝わってくるはずです。
手元の数字で試すには
72の法則はあくまで暗算用の近似です。実際に月々いくら積み立てて、何年後にいくらになるかという精緻な計算は、複利を整える で確認できます。月3万円を年利5%で20年積み立てた場合の実額や、新NISA・老後資金の見立て、72の法則との比較まで一画面で見られるので、暗算で当たりをつけたあとの答え合わせに使ってみてください。