領収書の収入印紙は5万円から?──印紙税がかかる書類・かからない書類
領収書の印紙税は、売上代金の受取書で記載金額が5万円未満なら非課税、5万円以上100万円以下は200円です。税込と税抜の書き方で判定が変わる理由、営業に関しない受取書、電子で渡す場合、貼り忘れの過怠税までを、国税庁の資料で一つずつ整理します。
この記事のポイント
- 領収書は5万円未満が非課税。5万円以上100万円以下は200円
- 税込だけの記載だと税込額で判定し、52,800円なら課税
- 印紙税を整えるで文書の種類と金額から税額を確かめる
- Q.
- 領収書に収入印紙が必要なのは何円から?
- A.
- 売上代金の領収書は、記載金額が5万円以上になると収入印紙が必要です。5万円以上100万円以下なら200円で、金額が増えると段階的に上がります。消費税額が区分して記載されていれば、税抜の金額で判定します。
領収書に収入印紙を貼るのは「5万円から」と覚えている方は多いと思います。方向は合っていますが、実際には「何円の領収書か」だけでなく、「消費税をどう書いたか」「誰が出した領収書か」「紙か電子か」で印紙の要否が変わります。
結論を先に書きます。
売上代金の領収書は、記載金額が5万円未満なら印紙税は非課税、5万円以上から課税され、5万円以上100万円以下なら200円です。ただし、消費税額が区分して書かれているかどうかで、判定に使う金額が変わります。この記事の数字は、国税庁タックスアンサー No.7105・No.7124・No.7131・No.7140・No.7141(いずれも令和8年4月1日現在法令等、2026年9月時点)によります。
領収書の印紙税額
領収書、レシート、預り書などの受取書は、印紙税の課税文書のうち「第17号文書」にあたります。受け取った金銭が売上代金かどうかで、税額の決まり方が違います。
売上代金の受取書(第17号の1文書)の税額は次のとおりです。
| 記載金額 | 印紙税額 |
|---|---|
| 5万円未満 | 非課税 |
| 5万円以上 100万円以下 | 200円 |
| 100万円超 200万円以下 | 400円 |
| 200万円超 300万円以下 | 600円 |
| 300万円超 500万円以下 | 1,000円 |
| 500万円超 1,000万円以下 | 2,000円 |
1,000万円を超える金額は、さらに段階的に上がります。
売上代金以外の受取書(第17号の2文書)は、借入金や保証金、保険金、損害賠償金などの受取書です。こちらは記載金額が5万円未満なら非課税で、5万円以上なら金額にかかわらず一律200円です。
「5万円から」の「から」は、5万円ちょうどを含みます。49,999円の領収書は非課税、50,000円の領収書は200円の印紙が必要です。
税込・税抜の書き方で判定が変わる
間違えやすいのが消費税の扱いです。消費税額等が区分して記載されている、または税込価格と税抜価格の両方が書かれていて消費税額が明らかな場合は、消費税額を除いた金額が記載金額になります。国税庁の例では、次のとおりです。
- 「商品販売代金48,000円、消費税額等4,800円、合計52,800円」と書いた領収書は、記載金額が48,000円。5万円未満なので非課税
- 「請負金額1,100万円(税込)」とだけ書いた契約書は、消費税額が明らかとは言えないので、記載金額は1,100万円として扱われる
後者は領収書ではなく請負契約書(第2号文書)の例ですが、同じ考え方が領収書にも当たります。税抜48,000円の取引でも、「合計52,800円(税込)」としか書かなければ、5万円を超えて印紙税が課税される側に入ります。この取扱いが使えるのは第1号文書(不動産の譲渡等の契約書)、第2号文書(請負の契約書)、第17号文書(受取書)の3つに限られます。
なお、消費税の免税事業者が「消費税額等」として金額を区分して書いても、実際に課される消費税がないので、その金額は記載金額に含めます。
売上代金と、それ以外の金額が1枚に書かれた領収書では、区分できれば売上代金の金額だけが記載金額になります。ただし、5万円未満で非課税かどうかの判断だけは、両方を合計した額で行います。
営業に関しない受取書は非課税
第17号文書は、受け取る側にとって「営業に関しない」金銭の受取書なら非課税です。国税庁の整理では、おおむね次のようになっています。
| 受け取る側 | 営業にあたるか |
|---|---|
| 株式会社などの営利法人 | 営業にあたる |
| 公益社団法人・公益財団法人などの公益法人 | あたらない |
| 商人としての個人の事業 | 営業にあたる |
| 事業を離れた私的な日常生活(個人どうしの売買など) | あたらない |
| 医師・歯科医師・弁護士・公認会計士の行為 | 一般にあたらない |
店舗などの設備がない農業・林業・漁業の人が自分の生産物を売る場合も、営業にあたらない扱いです。たとえば、個人が不用品を売って受け取ったお金の受取書には、印紙税はかかりません。
紙と電子で何が違うのか
印紙税の課税対象になるのは、課税物件表に掲げられた「文書」です。国税庁の質疑応答事例(取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い)では、注文請書の代わりに電子署名を付けた電磁的記録を電子メールで送信した場合について、電磁的記録は文書に含まれないため印紙税は課税されないと回答しています。
領収書でも考え方は同じで、PDFなどの電磁的記録を電子メールやダウンロードで渡す限り、印紙は貼りようがなく、課税の対象外です。一方、紙に印刷して相手に渡した領収書は文書ですから、5万円以上の売上代金の受取書であれば印紙税の対象になります。「電子で出せば印紙が要らない」のではなく、「紙の文書を作らないから課税されない」という整理です。
これは国税庁の事例が示す一般的な回答で、個々の取引にそのまま当てはまるとは限らない旨の注記もついています。迷うときは税務署に確認してください。
貼り忘れ・消印忘れの過怠税
印紙を貼る方法で納める文書に、作成の時までに印紙を貼らなかった場合は、納めなかった印紙税の額とその2倍の額との合計、つまり本来の税額の3倍の過怠税が徴収されます。200円の領収書なら600円です。
自分から税務署に「印紙税不納付事実申出書」を出し、調査で指摘されることを予知した申出ではない場合は、1.1倍(200円なら220円)に軽減されます。印紙は貼ってあるのに消印をしなかった場合は、消印されていない印紙の額面に相当する金額(200円の印紙なら200円)の過怠税です。過怠税は法人税の損金にも所得税の必要経費にも入りません。
200円のために数百円の過怠税を払うのは小さな話に見えますが、領収書は枚数が多くなりがちです。毎月数百枚を発行する事業なら、貼り忘れの積み重ねは無視できません。
よくある勘違い
- 「5万円ちょうどは非課税」ではありません。50,000円から課税です
- 「契約書も5万円未満が非課税」ではありません。第1号・第2号の契約書は1万円未満が非課税で、領収書とは線が違います
- 「レシートには印紙が要らない」とは限りません。レシートも受取書にあたり、5万円以上の売上代金なら課税文書です
税額を確かめる
文書の種類と記載金額から印紙税額を出すには、印紙税を整える が使えます。領収書(売上代金の受取書)を選んで金額を入れると、非課税かどうかと税額が表示されます。請負契約書や不動産の譲渡契約書の軽減措置の有無も、同じ画面で確かめられます。金額の入力はすべてブラウザ内で処理され、送信されません。
まとめ
- 売上代金の領収書は5万円未満が非課税、5万円以上100万円以下は200円
- 消費税額が区分記載されていれば、税抜の金額で判定する。52,800円(税抜48,000円)の例は非課税
- 営業に関しない受取書は非課税。紙ではなく電磁的記録で渡す場合は課税文書の作成にあたらない
- 貼り忘れは本来の税額の3倍の過怠税。自主的な申出なら1.1倍