県内総生産は東京が1位、では1人当たりは?──物差しで順位が入れ替わる
県内総生産は東京が約120.2兆円で全国の20.2%を占め、大阪と愛知が続きます。人口で割った1人当たりや、1人当たり県民所得で見ると順位が入れ替わります。内閣府の県民経済計算(令和4年度)の数字で、3つの物差しを並べて違いを整理します。
この記事のポイント
- 県内総生産の1位は東京の約120.2兆円で、全国の20.2%を占める
- 総額3位の愛知は1人当たりで2位、総額2位の大阪は8位、埼玉は45位
- 「都道府県のGDPを整える」で47都道府県の総額と県民所得を並べて見られる
- Q.
- 県内総生産は東京が1位ですが、1人当たりでも東京が1位ですか?
- A.
- はい、令和4年度は1人当たりでも東京が1位で、約856万円です。ただし2位以下は入れ替わり、総額では3位の愛知県が1人当たりでは2位になります。総額で2位の大阪府は8位、5位の埼玉県は45位です。
都道府県の経済規模を比べるとき、最初に見るのは県内総生産の大きさです。東京都が1位なのは知られていますが、人口で割った1人当たりで並べ替えると、順位は大きく変わります。「規模」と「豊かさ」は同じ物差しではありません。
結論を先に書きます。
県内総生産(名目)の1位は東京都の約120.2兆円で、47都道府県の合計の20.2%を占めます。総額で3位の愛知県は、人口で割った1人当たりでは2位、2位の大阪府は8位、5位の埼玉県は45位になります。この記事は、内閣府「県民経済計算」の令和4年度(2022年度)の値(2026年10月時点で47都道府県の値が揃う最新年度)をもとに、3つの物差しで順位を並べます。令和5年度は5県が未確定のため(2026年10月初めに確認)、使っていません。
物差し1:県内総生産の総額
県内総生産は、県内で1年間に生み出された付加価値の合計です。令和4年度の上位は次のとおりです。
| 順位 | 都道府県 | 県内総生産(名目) | 47都道府県の合計に占める割合 |
|---|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 120.2兆円 | 20.2% |
| 2 | 大阪府 | 43.1兆円 | 7.2% |
| 3 | 愛知県 | 43.1兆円 | 7.2% |
| 4 | 神奈川県 | 35.2兆円 | 5.9% |
| 5 | 埼玉県 | 24.7兆円 | 4.1% |
47都道府県の合計は約595.9兆円です。東京都は2位の大阪府の約2.8倍で、1位だけが突き抜けています。一方で2位と3位は近く、大阪府が43兆1,242億円、愛知県が43兆0,831億円で、差は約410億円しかありません。
最も小さいのは鳥取県の約1.9兆円で、東京都はその約63倍です。
物差し2:1人当たり県内総生産
総額を総人口で割ると、1人当たりの生産額が出ます。計算は、県内総生産に総人口(県民経済計算の総括表9の値)を割ったものです。次の表の数字は、この記事で計算し直した値です。
| 順位 | 都道府県 | 1人当たり県内総生産 | 総額の順位 |
|---|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 856.4万円 | 1位 |
| 2 | 愛知県 | 574.8万円 | 3位 |
| 3 | 茨城県 | 513.7万円 | 11位 |
| 4 | 群馬県 | 510.2万円 | 14位 |
| 5 | 静岡県 | 510.0万円 | 10位 |
| 8 | 大阪府 | 491.0万円 | 2位 |
| 38 | 神奈川県 | 380.8万円 | 4位 |
| 45 | 埼玉県 | 336.2万円 | 5位 |
| 47 | 奈良県 | 300.3万円 | 38位 |
全国(47都道府県の合計を総人口の合計で割った値)は476.9万円です。東京都はその約1.8倍で、最下位の奈良県の約2.85倍にあたります。
総額で2位、4位、5位だった大阪府、神奈川県、埼玉県は、1人当たりでは8位、38位、45位に下がります。一方、総額が10位から16位の静岡県、茨城県、群馬県、栃木県は、1人当たりでは3位から6位に入ります。
順位が入れ替わる主な理由は、分母が人口の多い県ほど大きいことです。生産額が大きくても人口がもっと多ければ、1人当たりは小さくなります。
物差し3:1人当たり県民所得
県内総生産と似た名前に「県民所得」があります。この2つは同じ数字ではありません。
- 県内総生産。 県内で行われた生産活動がもとの数字。どこに住んでいる人が生んだ価値かは問わない。
- 県民所得。 県民が受け取った所得の合計で、雇用者報酬、財産所得、企業所得の3つを足したもの。
前者は「その県の中で何が作られたか」、後者は「その県に住む人にどれだけ所得が入ったか」を表します。県内で働いて県外に住む人の所得は、県内総生産には入りますが、県民所得にはその人の住む県の分として入ります。
令和4年度の1人当たり県民所得は、次のとおりです。全国は344.9万円です。
| 都道府県 | 1人当たり県民所得 | 順位 |
|---|---|---|
| 東京都 | 603.7万円 | 1位 |
| 愛知県 | 381.9万円 | 2位 |
| 茨城県 | 348.1万円 | 3位 |
| 大阪府 | 325.7万円 | 12位 |
| 神奈川県 | 318.0万円 | 15位 |
| 埼玉県 | 313.8万円 | 19位 |
| 沖縄県 | 224.9万円 | 47位 |
東京都は全国の約1.75倍、最下位の沖縄県の約2.68倍です。1人当たり県民所得は、1人当たり県内総生産より都道府県間の差が小さくなります。1人当たり県内総生産の最高と最低は約2.85倍、1人当たり県民所得は約2.68倍です。
3つの物差しの順位を並べる
愛知県、大阪府、神奈川県、埼玉県の順位を表にします。
| 都道府県 | 総額 | 1人当たり県内総生産 | 1人当たり県民所得 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 1位 | 1位 | 1位 |
| 愛知県 | 3位 | 2位 | 2位 |
| 大阪府 | 2位 | 8位 | 12位 |
| 神奈川県 | 4位 | 38位 | 15位 |
| 埼玉県 | 5位 | 45位 | 19位 |
東京都と愛知県は、どの物差しでも上位で変わりません。大阪府、神奈川県、埼玉県は、総額と1人当たりで順位が大きく離れます。神奈川県と埼玉県は、県内総生産の1人当たりでは下位でも、県民所得の1人当たりでは中位に上がります。県内で生み出された価値と、県民に入る所得で、順位の関係が変わるためです。
数字を読むときの注意
- 年度が違う数字を混ぜない。 県民経済計算は年度(4月から翌年3月)の値です。暦年の統計とは時期が少しずれます。
- 名目と実質は別。 この記事は名目の値です。物価の変動を除いた実質とは、順位が異なることがあります。
- 確報値は更新される。 内閣府の値は、あとで改定されることがあります。引用するときは、年度と公表時期を書いてください。
- 評価語は慎重に。 順位が低いことと、暮らしやすさは同じではありません。生活費の水準や住宅の事情などは、この数字には含まれません。
自分で並べて確かめる
47都道府県の県内総生産の順位、全国に占める割合、1人当たり県民所得とその内訳は、都道府県のGDPを整えるで一覧できます。県ごとのページでは、世界の国の名目GDPのどのあたりに当たるかも見られます。1人当たり県内総生産は、サイトの一覧にはない値なので、この記事の表のように総人口で割って確かめてください。
出典
- 内閣府「県民経済計算」(令和4年度・2008SNA・平成27年基準)。県内総生産(名目)、1人当たり県民所得、総人口の各表