有効求人倍率「1.2倍」とは何か──求人÷求職者と季節調整値
有効求人倍率は、ハローワークの有効求人数を有効求職者数で割った値です。2026年8月分の全国は1.18倍で、就業地別の最高は福井県の1.72倍、最低は大阪府の0.95倍でした。季節調整値と実数の違い、就業地別と受理地別の違い、倍率の読み方の注意も整理します。
この記事のポイント
- 有効求人倍率は有効求人数÷有効求職者数で、2026年8月分は1.18倍
- 月ごとの数字は季節調整値。年平均は実数で、並べて比べない
- 「有効求人倍率を整える」で47都道府県の倍率を確かめる
- Q.
- 有効求人倍率1.2倍とは、どういう意味ですか?
- A.
- ハローワークで仕事を探している人100人に対して、求人が120件あるという意味です。有効求人数を有効求職者数で割った値で、1倍を上回ると求職者1人に対する求人が1件を超えています。ただし、職種や地域によって、探しやすさは大きく違います。
ニュースで「有効求人倍率は1.18倍」と聞いても、何を割った数字で、1.18が高いのか低いのかは、すぐには分かりません。さらに、月ごとの倍率と年平均の倍率は、同じ「倍率」でも別の種類の数字です。
結論を先に書きます。
有効求人倍率は、月間有効求人数を月間有効求職者数で割った値です。1.2倍なら、仕事を探している人100人に対して求人が120件あります。2026年8月分の全国は、季節調整値で1.18倍でした。 都道府県別(就業地別)の最高は福井県の1.72倍、最低は大阪府の0.95倍です。
この記事の数字は、厚生労働省「一般職業紹介状況」の令和8年(2026年)8月分(2026年10月2日公表)です。9月分は、2026年10月30日に公表される予定なので、それ以降は数字が変わります。
求人÷求職者の意味
厚生労働省の用語の説明では、有効求人倍率は次のように決められています。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 月間有効求人数 | 前月から繰越された有効求人数(前月末日現在で、求人票の有効期限が翌月以降にまたがっている未充足の求人数)と、当月の新規求人数の合計 |
| 月間有効求職者数 | 前月から繰越された有効求職者数(前月末日現在で、求職票の有効期限が翌月以降にまたがっている就職未決定の求職者)と、当月の新規求職申込件数の合計 |
| 有効求人倍率 | 月間有効求人数 ÷ 月間有効求職者数 |
| 新規求人倍率 | 新規求人数 ÷ 新規求職申込件数 |
「有効」とつくのは、その月に新しく出た求人や求職だけでなく、前の月から続いているものも含めて数えるためです。新しい求人と求職だけで割った値は、別に「新規求人倍率」として公表されます。2026年8月分の新規求人倍率は2.06倍で、前月を0.04ポイント下回りました。新規求人倍率は、有効求人倍率とは別の数字として読みます。
倍率を人数に直す
倍率は、求職者100人に対する求人の件数として読むと分かりやすくなります。
| 有効求人倍率 | 求職者100人に対する求人 | 読み方 |
|---|---|---|
| 1.72倍(福井県) | 172件 | 求職者1人に求人が1件を超える |
| 1.18倍(全国) | 118件 | 求職者1人に求人が1件を超える |
| 1.00倍 | 100件 | 求人と求職者が同じ数 |
| 0.95倍(大阪府) | 95件 | 求人より求職者のほうが多い |
1倍を下回ると、数字の上では求職者が求人より多い状態です。ただし、この倍率は、人数と件数の比べ方を示す指標で、「求職者の何割が仕事を得られるか」を表すものではありません。1人が複数の求人に応募でき、1件の求人に複数の求職者が応募できます。
2026年8月分の数字
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 有効求人倍率(全国・季節調整値) | 1.18倍(前月と同水準) |
| 有効求人数の前月比 | 0.7%増 |
| 有効求職者数の前月比 | 0.7%増 |
| 新規求人倍率(全国・季節調整値) | 2.06倍(前月差 マイナス0.04ポイント) |
| 就業地別の最高 | 福井県 1.72倍 |
| 就業地別の最低 | 大阪府 0.95倍 |
| 受理地別の最高 | 東京都 1.70倍 |
| 受理地別の最低 | 神奈川県 0.83倍 |
有効求人数と有効求職者数が、どちらも0.7%増えたので、割った倍率は前月と同じ1.18倍になりました。直近13か月の全国の倍率は、1.17倍から1.21倍の間にあります。
47都道府県の分布
就業地別の47都道府県で見ると、1倍以上が44、1倍未満が3です。1倍未満の3つは、北海道(0.98倍)、福岡県(0.97倍)、大阪府(0.95倍)です。
| 順位 | 就業地別・高い県 | 倍率 | 就業地別・低い県 | 倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 福井県 | 1.72 | 大阪府 | 0.95 |
| 2 | 山梨県 | 1.71 | 福岡県 | 0.97 |
| 3 | 富山県 | 1.68 | 北海道 | 0.98 |
| 4 | 島根県 | 1.60 | 神奈川県 | 1.02 |
| 5 | 香川県 | 1.53 | 和歌山県 | 1.05 |
最高の福井県と最低の大阪府の差は、1.72 − 0.95 = 0.77倍です。
季節調整値と実数は別の数字
有効求人倍率には、季節調整値と実数があります。
- 季節調整値:年度末や年末など、季節によって決まって増減する動きをならした値。月ごとの動きを比べるときに使う。このサイトの月ごとの倍率も、これ
- 実数(季節調整をしていない値):その月の求人数と求職者数から、そのまま割った値。年平均は、月ごとの実数の平均
このサイトのデータでは、令和7年(2025年)の年平均(実数)は、全国で1.22倍です。2026年8月分の季節調整値1.18倍とは、算出の仕方が違うので、並べて「下がった」と言うことはできません。厚生労働省の公表資料にも、令和7年12月以前の数値は、令和8年1月分の公表時に新しい季節指数により改定されているという注記があります。過去の数字を引用するときは、改定後の値かを確かめます。
就業地別と受理地別
都道府県別の倍率には、2通りの数え方があります。
| 数え方 | 何で数えるか | 8月分の最高と最低 |
|---|---|---|
| 就業地別 | 求人の就業場所がある都道府県 | 福井県1.72倍、大阪府0.95倍 |
| 受理地別 | 求人を受け付けたハローワークがある都道府県 | 東京都1.70倍、神奈川県0.83倍 |
たとえば、ある県のハローワークで受け付けた求人の就業場所が別の県にあれば、受理地別では受け付けた県に、就業地別では就業場所の県に数えられます。そのため、受理地別にすると、都道府県の値と順位が変わります。「自分の住む県で仕事を探しやすいか」を見るなら、就業地別が目安になります。全国の値は、受理地別の表の全国の列です。
倍率の読み方の注意
- 倍率が高いことは、どんな仕事でも探しやすいという意味ではない。職種や条件が求職者の希望と合っているかは、倍率に表れない
- 都道府県の中でも、地域や職種で差がある
- ハローワークが扱う求人と求職だけの数字で、民間の求人サイトの求人は含まれない
有効求人倍率を整えるでは、最新月の有効求人倍率を47都道府県で並べ、最高と最低、前月差、前年の年平均を、列見出しで並べ替えて見られます。都道府県ごとのページでは、直近13か月の推移も確かめられます。
まとめ
- 有効求人倍率は、月間有効求人数 ÷ 月間有効求職者数。1.2倍は、求職者100人に求人120件
- 2026年8月分の全国は1.18倍(季節調整値)で、前月と同水準。新規求人倍率は2.06倍
- 就業地別の最高は福井県の1.72倍、最低は大阪府の0.95倍。1倍未満は北海道、福岡県、大阪府の3つ
- 月ごとの季節調整値と年平均の実数は、別の種類の数字。並べて増減を比べない
- 受理地別と就業地別で、都道府県の値は変わる