OSPF・VLAN・ARPは何の略?──ネットワークの略語は正式名で読むと見当がつく
OSPF・VLAN・ARPなどネットワークの略語は、正式名の英語を知ると何をするものか見当がつきます。末尾の単語で種類を読むコツと、STP・MAC・TTLのように同じ略語で意味が違う語を整理します。
この記事のポイント
- 略語は正式名で読むと役割が見える。OSPFは最短の道を先に選ぶ決まりごと
- STPとMACとTTLは、同じ略語で別の意味を持つ語が2つずつある
- 「ネットワークの略語を整える」で略語を引くと正式名と置き場所が分かる
- Q.
- OSPFやARPは何の略ですか?
- A.
- OSPFは Open Shortest Path First、ARPは Address Resolution Protocol の略です。OSPFは最短の道を選ぶための決まりごと、ARPはIPアドレスから相手のMACアドレスを調べる決まりごとです。略語は正式名を訳すと、役割の見当がつきます。
新しい職場のネットワーク構成図を渡されて、スイッチの横に「VLAN10」、ルーターの横に「OSPF」と書いてある。先輩は当たり前のように話すけれど、自分には呪文にしか見えない。略語の意味を調べても、さらに別の略語で説明されて、いつまでも終わらない。
結論を先に書きます。
ネットワークの略語は、頭文字の元になった英語(正式名)を一度だけ読んでおくと、何をするものかの見当がつきます。 たとえば OSPF は「Open Shortest Path First」。直訳すれば「公開された、最短の道を先に」で、ルーターが最短の道を選ぶための決まりごとだと想像できます。暗記するより、正式名を日本語に直してみるほうが近道です。
末尾の単語が「種類」を教えてくれる
略語の正式名は、最後の単語で種類が分かることが多くあります。
| 末尾の単語 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| Protocol | 通信の決まりごと | ARP(Address Resolution Protocol)、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol) |
| Network | ネットワークの範囲 | LAN(Local Area Network)、VLAN(Virtual Local Area Network) |
| Address | 住所・番号 | MAC(Media Access Control address) |
| System | 仕組み全体 | DNS(Domain Name System) |
| Translation | 書き換え | NAT(Network Address Translation) |
この表をもとに、本文で出てきた3つを読んでみます。
OSPF(Open Shortest Path First)。 前から訳すと「最短の道を先に」。ルーター同士が道の地図を交換し、そこから最短の道を計算します。「Open」は、特定の会社の独自仕様ではなく、規格が公開されていることを指すとされます。仕様は IETF の RFC 2328 に書かれていて、日付は1998年4月です。
VLAN(Virtual Local Area Network)。 「仮想の、建物内のネットワーク」。1台のスイッチの中を、見えない壁で部署ごとのLANに分ける仕組みです。実際の配線を変えずに、設定だけで別々のネットワークにできます。標準の規格は IEEE 802.1Q として知られています。
ARP(Address Resolution Protocol)。 「住所を解決する決まりごと」。IPアドレスは分かるが、相手のMACアドレスが分からないときに、「このIPアドレスの持ち主は誰?」と同じ建物の中で呼びかけて、答えを教えてもらう手順です。最初に規格になったのは RFC 826 で、日付は1982年11月。意外と古い仕組みです。
同じ略語で、別の意味がある語
厄介なのは、同じ略語なのに、まったく別のものを指す語です。文脈で読み分ける必要があります。
| 略語 | 意味1 | 意味2 |
|---|---|---|
| STP | Spanning Tree Protocol(スイッチの輪を止める決まりごと) | Shielded Twisted Pair(金属の覆いで雑音を防ぐLANケーブル) |
| MAC | Media Access Control address(機器の背番号) | Message Authentication Code(データが書き換えられていないか確かめる暗号の印) |
| TTL | IPパケットが通れる中継回数の上限 | DNSの答えを控えておいてよい時間(秒) |
STPは、スイッチの話をしているなら Spanning Tree、ケーブルの話をしているなら Shielded Twisted Pair です。MACも、普段ネットワークでMACアドレスと言えば機器の背番号ですが、暗号の資料に出てくる MAC は認証コードです。TTLに至っては、同じ3文字でも、片方は回数、もう片方は秒という単位の違いまであります。
略語に出会ったら、まずどの場所の話か(スイッチなのか、ケーブルなのか、暗号なのか)を確かめます。正式名と場所を一緒に覚えておくと、取り違えを減らせます。
略語の置き場所を知ると、迷子にならない
略語を一つずつ覚えるより、どこの話かで整理すると覚えやすくなります。パソコンのすぐ近く(LAN)の話か、建物の出口(インターネットとの境目)の話か、遠くの拠点をつなぐ話(WAN)か。
- LANの中の話:ARP、VLAN、STP、MAC
- 建物の出口の話:NAT、DHCP
- 遠くへつなぐ話:OSPF、BGP、ICMP
こう並べると、ARPとOSPFが同じ「Protocol」でも、働く場所がまったく違うと分かります。
ネットワークの略語を整えるは、略語を入力すると正式名・読み方・ひとことの説明が出て、同じ略語で意味が違う語も並べて見られます。ネットワークの全体図を整えるでは、略語が全体図のどこに当たるかを図で確かめられます。両方を行き来すると、「正式名」と「置き場所」を結びつけて覚えられます。
略語は、最初の1回だけ正式名を訳してみる。それだけで、先輩の会話は呪文から、少しずつ意味のある言葉に変わっていきます。