新潟は清酒の蔵も飲む量も全国1位──「蔵の県」と「飲む県」を並べる
清酒の製造免許場数が全国1位の新潟県は100場、成人1人当たりの清酒の販売数量も7.7Lで全国1位です。免許場数と稼働中の蔵の数の違い、場数とリットルという単位の違い、蔵が多くても飲む量が少なめの県まで、国税庁の統計を並べて丁寧に読み解きます。
この記事のポイント
- 新潟は清酒の免許場数100場、成人1人当たり販売数量7.7Lで1位
- 免許場数は稼働中の蔵の数ではない。全国1,679場に対し稼働は1,104場
- 「酒蔵の数を整える」で都道府県別の場数と販売数量を確かめる
- Q.
- 清酒の酒蔵が一番多い都道府県はどこ?
- A.
- 国税庁の統計では、清酒の製造免許場数が最も多いのは新潟県の100場です。全国は1,679場なので、約6.0%が新潟県にあたります。ただし免許場数は稼働中の蔵の数とは異なり、実際に清酒を製造した場数は全国で1,104場です。
「新潟といえば日本酒」というイメージは、数字で確かめるとどこまで当たっているのでしょうか。酒蔵の数と、住民が飲む量は別の統計で、単位も違います。並べて読むときに、それぞれの意味を取り違えないことが大切です。
結論を先に書きます。
清酒の製造免許場数は新潟県が100場で全国1位、成人1人当たりの清酒の販売数量も新潟県が7.7Lで全国1位です。全国の免許場数は1,679場なので、新潟県は約6.0%にあたります。この記事の数字は、国税庁「令和6年度統計年報」酒税編の都道府県別の免許場数(調査時点は2025年3月31日)と、国税庁「酒のしおり(令和8年7月)」表13の成人1人当たりの酒類販売(消費)数量によります。
清酒の蔵が多い県
製造免許場数は、酒類の品目ごとの製造免許の数です。清酒について、多い順に並べます。
| 順位 | 都道府県 | 清酒の免許場数 |
|---|---|---|
| 1位 | 新潟県 | 100場 |
| 2位 | 兵庫県 | 88場 |
| 3位 | 長野県 | 85場 |
| 4位 | 福岡県 | 67場 |
| 5位 | 福島県 | 65場 |
全国の合計は1,679場で、47都道府県の合計とも一致します。新潟県は2位の兵庫県より12場多くなっています。
飲む量が多い県
次に、成人1人当たりの清酒の販売(消費)数量です。単位はリットルで、国税庁の資料では沖縄県分は含まれていません。
| 順位 | 都道府県 | 成人1人当たり清酒(L) |
|---|---|---|
| 1位 | 新潟県 | 7.7 |
| 2位 | 秋田県 | 6.4 |
| 3位(同率) | 石川県 | 6.0 |
| 3位(同率) | 長野県 | 6.0 |
| 5位 | 山形県 | 5.8 |
全国平均は3.7L(沖縄県分を含まない)です。新潟県の7.7Lは、その約2.1倍にあたります。2位の秋田県も6.4Lで、全国平均の約1.7倍です。
つまり、清酒に限れば、新潟県は「蔵の数」と「1人当たりの販売数量」の両方で全国1位です。
「蔵が多い」と「飲む量が多い」は同じではない
2つの表を並べると、蔵の数が多い県でも、飲む量が多いとは限らないことが分かります。
| 都道府県 | 清酒の免許場数 | 成人1人当たり清酒(L) |
|---|---|---|
| 新潟県 | 100場 | 7.7 |
| 兵庫県 | 88場 | 3.5 |
| 長野県 | 85場 | 6.0 |
| 福岡県 | 67場 | 3.0 |
| 福島県 | 65場 | 5.6 |
| 秋田県 | 38場 | 6.4 |
兵庫県は免許場数が全国2位でも、成人1人当たりは3.5Lで、全国平均の3.7Lをやや下回ります。福岡県も3.0Lです。逆に秋田県は、免許場数は38場ですが、飲む量は全国2位です。
ここに、この2つの統計の性質の違いが出ています。免許場数は「その県にある事業者の数」で、販売数量は「その県で販売された量を成人人口で割った値」です。2つは測っているものが違うため、蔵の多い県が飲む量も多いとは限りません。
酒類全体で見ると順位が変わる
清酒だけでなく、酒類全体の成人1人当たり販売数量を見ると、1位は東京都の98.6Lです。全国平均は74.8L(沖縄県分を含まない)で、新潟県は82.6Lです。
東京都の清酒は4.0Lで、全国平均の3.7Lを少し上回る程度です。東京都の合計に最も大きく効いているのはビールで、36.5Lと全国平均の22.5Lを大きく上回ります。新潟県のビールは22.8Lです。清酒の量と、酒類全体の量は、別の物差しです。
蔵の数を酒類全体で数えると、また順位が変わります。清酒に焼酎・ビール・果実酒などの免許場数を合わせた計では、長野県が803場で最も多く、新潟県は668場の2位です。清酒の免許だけでなく、他の酒類の免許も数えるかどうかで、1位が入れ替わります。
免許場数と稼働している蔵は別
「蔵の数」で最も注意したいのは、免許場数の意味です。国税庁の統計年報の免許場数は、製造免許の数であり、実際に稼働している場数ではありません。同じ製造場が複数の品目の免許を持つ場合は、品目ごとに数えます。
清酒について、数字を並べると次のとおりです。
| 区分 | 場数 |
|---|---|
| 清酒の製造免許場数(2025年3月31日現在) | 1,679 |
| 清酒の製造場数(統計年報の別の欄。一つの製造場は主たる酒類で数える) | 1,514 |
| 令和6酒造年度に実際に清酒を製造した場数(国税庁「清酒の製造状況等について」) | 1,104 |
実際に製造した場数1,104場は、免許場数1,679場の約66%です。新潟県で実際に製造した場数は77場で、免許場数100場の77%にあたります。新潟県が1位であることは変わりませんが、「100の蔵が日本酒を造っている」と書くと数字を誤って伝えることになります。なお、実際に製造した場数は、宮崎県・鹿児島県・沖縄県が資料の中で合算されているため、この3県は個別の値がありません。
蔵の数の長いスパンでの動き
国税庁「酒のしおり」表14には、清酒の製造場の数(主たる酒類として計上した場数)の推移が載っています。昭和45年度は3,533場で、令和6年度は1,514場です。54年間で2,019場減り、昭和45年度の約43%になりました。免許場数1,679場という現在の数字は、かつての半分以下の水準にあたります。
県別の1位が新潟県であることと、全国の蔵の数が長く減ってきたことは、別の事実です。この記事の資料では、新潟県の蔵の数の推移までは確かめていません。
数字を読むときの注意
- 場数とリットルは別の単位です。「新潟は100」と「新潟は7.7」は、前者が蔵の数、後者が成人1人当たりの量で、直接比べることはできません
- 販売数量は、販売された量を成人人口で割った値で、住民が実際に飲んだ量そのものではありません
- 沖縄県は、成人1人当たり販売数量の原資料に載っていません。全国平均も沖縄県分を除いた値です
- 資料の時点が違います。免許場数は2025年3月31日現在、販売数量は令和6年度(2024年4月〜2025年3月)です
都道府県別に確かめる
酒類の都道府県別の免許場数と、成人1人当たりの販売数量は、酒蔵の数を整える で47都道府県を並べて確かめられます。免許場数と稼働中の蔵の数の違い、清酒製造場数の昭和45年度から令和6年度までの推移も載っています。
まとめ
- 清酒の免許場数は新潟県の100場が1位、全国は1,679場。2位は兵庫県の88場
- 成人1人当たりの清酒の販売数量は新潟県の7.7Lが1位。全国平均は3.7L
- 酒類全体の1人当たり販売数量は東京都の98.6Lが1位。新潟県は82.6L
- 免許場数は稼働中の蔵ではない。実際に製造した場数は全国1,104場、新潟県は77場