育休中の給付金は手取りの何割?──「手取り10割」と言われる条件
育児休業給付金は休業前賃金の67%、出生後休業支援給付金を上乗せすると80%で、厚生労働省はこれを手取り10割相当と説明します。ただし上乗せは最大28日分だけです。月給別の月額と、10割にならないケースを令和8年8月版の手引きで整理します。
この記事のポイント
- 給付率は67%、条件を満たす最初の28日は13%上乗せの80%
- 手取り10割相当は最大28日分で、29日目以降は67%、181日目から50%
- 「育休給付金を整える」で月給から給付額を試算できる
- Q.
- 育休中の給付金は手取りの何割もらえる?
- A.
- 育児休業給付金は休業前賃金の67%で、181日目以降は50%です。本人と配偶者が14日以上育休を取るなどの条件を満たすと、最初の28日間は13%が上乗せされて80%になり、厚生労働省はこれを手取り10割相当と説明しています。10割相当になるのは最大28日分で、その後は67%に下がります。
「育休中は手取り10割もらえる」と聞いて、休業中も今までと同じ金額が入ると思った人は少なくありません。実際の制度は、もう少し条件が付いています。
結論を先に書きます。
**育児休業給付金の給付率は休業前賃金の67%で、条件を満たす最初の28日間だけ13%が上乗せされて80%になります。厚生労働省はこの80%を「手取り10割相当」と説明しています。**ただし10割相当になるのは最大28日分で、そのあと180日目までは67%、181日目以降は50%です。この記事は、厚生労働省の「雇用保険事務手続きの手引き(育児休業等給付編)令和8年8月版」と「Q&A~育児休業等給付~(令和8年8月版)」(2026年10月時点)をもとに、条件と金額を整理します。
給付の種類と給付率
育休まわりの給付は、名前が似ていて混同されがちです。手引きの記述を並べます。
| 給付 | 給付率 | 期間 |
|---|---|---|
| 育児休業給付金 | 67% | 支給日数が通算180日に達するまで |
| 育児休業給付金 | 50% | 181日目以降 |
| 出生時育児休業給付金(産後パパ育休) | 67% | 出生後8週間以内、28日が上限 |
| 出生後休業支援給付金 | 13%(上乗せ) | 28日が上限 |
出生後休業支援給付金は2025年(令和7年)4月から受け取れるようになった給付です。育児休業給付金または出生時育児休業給付金に上乗せして支給されるので、67%と13%を足した**80%**が、休業開始から最初の28日間の給付率になります。
産後パパ育休で受けた日数は、育児休業給付金の67%の上限である180日に通算されます。育休を分けて取った場合でも、181日目以降は50%になります。
「手取り10割相当」になる理由
80%がなぜ手取り10割相当と言えるのか。理由は、給付が賃金と違って引かれ物が少ないからです。
- 育児休業等給付は非課税所得で、課税対象にならない(厚生労働省Q&A)
- 育児休業期間中は、健康保険と厚生年金の保険料が、本人分も事業主負担分も免除される(同Q&A)
額面の賃金からは、社会保険料と所得税が引かれて手取りになります。給付は80%でも、その80%がほぼそのまま手元に残るため、手取りで比べると休業前と同じ水準になる、というのが「手取り10割相当」の意味です。休業前の手取りが額面の8割前後の人なら、この計算が合います。
注意したいのは、手取りの割合には個人差があることです。扶養家族の数や各種の控除で、額面に対する手取りの割合は変わります。また住民税は前年の所得をもとに決まる税金なので、休業中も納める必要がある点には別途注意してください。手引きの「10割相当」は、あくまで標準的な目安の表現です。
10割相当になる条件
出生後休業支援給付金を受けるには、手引きが示す要件をすべて満たす必要があります。
- 本人が、同じ子について、出生時育児休業給付金または育児休業給付金が支給される休業を、対象期間に通算14日以上取得していること
- 配偶者が、子の出生日(または出産予定日)から8週間を経過する日の翌日までの期間に通算14日以上の育児休業を取得したこと。または「配偶者の育児休業を要件としない場合」に当たること
配偶者の育休を要件としない場合には、配偶者がいない、配偶者が自営業者やフリーランスなど雇用される労働者でない、配偶者が無業者、配偶者が産後休業中などが挙げられています。
対象期間は、父親の場合は子の出生日または出産予定日の早い日から、出生日または出産予定日の遅い日を起点に8週間を経過する日の翌日までです。母親の場合は、産後休業があるので16週間を経過する日の翌日までになります。
支給額の計算は「休業開始時賃金日額×休業期間の日数(28日が上限)×13%」です。28日が上限なので、上乗せされるのは最大でも28日分に限られます。
月給別の月額を計算する
休業開始時賃金日額は、休業前6か月の賃金を180で割って出します。月給が一定なら、月給を30で割った額(円未満切り捨て)です。賃金日額には上限があり、2026年8月1日現在で16,540円です。
30日分に換算した給付額の例を表にします(休業中に賃金が支払われない場合。円未満切り捨て)。
| 月給 | 賃金日額 | 67%(30日分) | 80%(30日分) | 50%(30日分) |
|---|---|---|---|---|
| 20万円 | 6,666円 | 133,986円 | 159,984円 | 99,990円 |
| 30万円 | 10,000円 | 201,000円 | 240,000円 | 150,000円 |
| 40万円 | 13,333円 | 267,993円 | 319,992円 | 199,995円 |
| 50万円 | 16,540円(上限) | 332,454円 | 396,960円 | 248,100円 |
月給50万円は、計算上の賃金日額が16,666円ですが、上限16,540円が適用されます。上限は月額換算で496,200円(賃金月額の上限)にあたるため、月給がこれを超える人は、給付率を掛けた後の額が頭打ちになります。80%の行は、条件を満たす最初の28日間の目安です。
たとえば月給30万円の人が、出生後休業支援給付金の対象で育休に入ると、最初の28日間は賃金日額10,000円の80%、つまり1日8,000円です。29日目から180日目までは67%の6,700円になり、181日目以降は5,000円です。
10割にならないケース
次のような場合、手引き上の「手取り10割相当」とはずれます。
- 29日目以降。 上乗せが終わり、給付率は67%に下がる。
- 配偶者が14日未満で、例外にも当たらない。 出生後休業支援給付金が出ない。
- 休業中に賃金が支払われた。 育児休業給付金は、支払われた賃金の額に応じて減額または不支給になる。出生後休業支援給付金は賃金が支払われても減額されないが、賃金が「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の80%以上になって育児休業給付金が出ない場合は、同じく支給されない。
- 賃金日額が上限を超えている。 月給がおおむね49.6万円を超えると、給付額は上限で頭打ちになる。
- 休業前の手取りが額面の8割より低い、または高い。 手取りに対する割合は個人差がある。
「10割」という言葉だけで家計を組むと、29日目に急に入金額が下がります。休業の計画では、最初の28日、180日目まで、181日目以降の3つの段階に分けて見てください。
申請と入金の流れ
給付金は、事業主を通じてハローワークへ支給申請を行うのが一般的な流れです。出生後休業支援給付金は、育児休業給付金と同じ申請書で一体的に申請します。入金は申請から決定までに日数がかかるので、休業に入った直後は、給与が止まってから給付が入るまでの空白が生じることがあります。生活費の備えは別に考えておいてください。
自分の金額を試算する
月給と休業の日数を入れれば、給付額を出せます。育休給付金を整えるは、67%、50%、出生後休業支援給付金の13%を分けて計算します。社会保険料の免除前後の額を見たいときは、社会保険料を整えるで通常時の負担額を確かめられます。
どちらも目安です。実際の支給額や条件は、勤務先とハローワークで確認してください。
出典
- 厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き【第3編】育児休業等給付・介護休業給付・高年齢雇用継続給付編【令和8年8月版】」
- 厚生労働省「Q&A~育児休業等給付~(令和8年8月版)」