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雑学・読み物

職種別の平均年収、上位と下位は何倍差?──賃金構造基本統計調査の読み方

厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査で、144職種の推計年収は最高の航空機操縦士が1,631.8万円、最低のビル・建物清掃員が297.4万円で、差は約5.5倍です。平均と中央値の違い、人数の少ない職種の見方など、職種別ランキングの読み方を整理します。

この記事のポイント

  • 144職種の推計年収は最高1,631.8万円、最低297.4万円で約5.5倍の差
  • 数字は平均値で中央値ではない。人数が少ない職種は順位を鵜呑みにしない
  • 「職種の平均年収を整える」で自分の年収と職種の平均の差を計算できる
Q.
職種別の平均年収は、上位と下位で何倍違う?
A.
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、144職種のうち推計年収が最も高い航空機操縦士が1,631.8万円、最も低いビル・建物清掃員が297.4万円で、差は約5.5倍です。数字は一般労働者の平均値で、パートタイム労働者は含まれません。
この記事の作業は、無料のツールでそのままできます(入力は送信されません) 職種の平均年収を整える 厚労省の統計から144職種の推計年収を並べ、自分の年収と職種で比べる 開く

職種別の平均年収のランキングを見ると、1位と最下位の差が大きく、数字だけが一人歩きしやすい統計です。何を平均した数字なのか、どの人が含まれているのかを知っておくと、読み間違いが減ります。

結論を先に書きます。

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和7年(2025年)の144職種で、推計年収がいちばん高いのは航空機操縦士の1,631.8万円、いちばん低いのはビル・建物清掃員の297.4万円で、差は約5.5倍です。 ただし、この数字は一般労働者の平均値で、パートタイム労働者は含まれません。また、年収は公表値をもとにした推計です(令和7年調査・2026年3月公表)。


この「年収」は、月額と賞与から計算した推計

賃金構造基本統計調査は、賃金の月額(毎年6月分)と、年間の賞与その他特別給与額を調べる統計です。職種別の表には、年収そのものは載っていません。

このため、年収の数字は次の式で推計しています。

  • 推計年収 = きまって支給する現金給与額(月額)× 12 + 年間賞与その他特別給与額

たとえば、航空機操縦士の月額は122.61万円、年間賞与その他特別給与額は160.43万円です。122.61万円 × 12 = 1,471.32万円に、160.43万円を足して、約1,631.8万円になります(千円単位の公表値から計算した値)。

対象は、一般労働者・産業計・企業規模計(10人以上)です。一般労働者とは、パートタイム労働者などの短時間労働者を除いた常用労働者のことです。

上位5職種と下位5職種

144職種の推計年収の上位と下位を並べます。

順位職種推計年収労働者数
1位航空機操縦士1,631.8万円8,350人
2位医師1,512.3万円145,170人
3位その他の経営・金融・保険専門職業従事者1,134.6万円63,150人
4位大学教授(高専含む)1,082.6万円69,370人
5位歯科医師1,062.7万円11,240人
140位包装従事者336.6万円73,780人
141位その他の保安職業従事者335.3万円50,110人
142位紡織・衣服・繊維製品製造従事者319.4万円114,000人
143位クリーニング職,洗張職298.3万円30,580人
144位ビル・建物清掃員297.4万円144,900人

(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和7年、職種(小分類)別)

1位と144位の差は、1,631.8万円 ÷ 297.4万円 = 約5.5倍です。上位10職種の平均(約1,094.8万円)と下位10職種の平均(約333.7万円)で比べると、約3.3倍になります。端の1職種どうしで比べるより、10職種ずつの平均のほうが差は小さく出ます。

「平均」は、真ん中の値とは違う

この統計の数字は平均値です。平均値は、一部の高い給与に引っ張られて、実感より高く出ることがあります。

簡単な例で確かめます。年収が300万円の人が4人、3,000万円の人が1人いるとします。

  • 平均 =(300 × 4 + 3,000)÷ 5 = 840万円
  • 中央値(低い順に並べた真ん中の値)= 300万円

この例では、平均は840万円ですが、5人のうち4人は300万円です。賃金構造基本統計調査の公表資料には、職種別の中央値が含まれていません。そのため、職種別の数字を「その職種の多くの人の年収」と読むのは避けてください。

職種の平均年収を並べたときの「真ん中」を計算すると、144職種の平均を低い順に並べた真ん中が約503.2万円です。一方、144職種の労働者数で重みをつけた平均は約545.5万円で、集計の仕方で値が変わります。どちらも職種ごとの平均値をもとにした数字で、働く人1人1人の年収の中央値ではありません。

人数が少ない職種は、順位を鵜呑みにしない

賃金構造基本統計調査は標本調査で、職種によって労働者数が大きく違います。1位の航空機操縦士は8,350人、5位の歯科医師は11,240人です。144職種のうち、労働者数が1万人に満たない職種は6つあります。一方、2位の医師は145,170人、下位のビル・建物清掃員は144,900人です。

人数の少ない職種は、少しの回答の違いで平均が動きやすくなります。1位か2位かといった細かい順位より、「上位は専門・技術的職業が多く、下位は清掃・包装・保安・生産工程などの職種が多い」というおおまかな傾向を読むのが妥当です。

身近な職種の数字

身近な職種の推計年収と労働者数も並べます。

職種推計年収労働者数
看護師524.7万円903,060人
その他の一般事務従事者528.7万円950,670人
保育士427.6万円291,510人
介護職員(医療・福祉施設等)388.0万円1,165,930人
販売店員384.8万円1,224,470人

(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和7年)

労働者数を見ると、介護職員(約117万人)や販売店員(約122万人)のように、多くの人が働く職種も下位寄りに並んでいます。

数字を使うときの注意

  • パートタイム労働者は含まれない。 同じ職種でも、短時間で働く人を含めると平均は変わります。
  • 年齢と勤続年数が職種で違う。 管理的職業従事者は平均51.5歳・勤続22.6年、理容・美容師は平均30.0歳・勤続6.8年です。職種どうしの比較では、年齢構成が違うことを頭に置いてください。
  • 企業規模は10人以上。 10人未満の事業所は、この職種別の表の対象外です。
  • 推計年収は、月額×12+賞与の計算値。 実際の年間の給与とは一致しません。

自分の年収と比べる

「職種の平均年収を整える」では、144職種の推計年収・月額・賞与・労働者数を並べ替えて見られ、自分の年収と職種を選ぶと、その職種の平均との差と比率が分かります。国税庁の統計で「自分の年収が全体の上位何%か」を知りたいときは、「年収の上位何%を整える」が使えます。

職種の平均は、自分の働き方に近い範囲(正社員か、企業規模はどうか)をそろえて比べると、より意味のある比較になります。

まとめ

  • 144職種の推計年収は、最高の航空機操縦士1,631.8万円、最低のビル・建物清掃員297.4万円で約5.5倍
  • 上位10職種と下位10職種の平均で比べると、約3.3倍
  • 数字は平均値で、職種別の中央値は公表されていない
  • 一般労働者(パートタイム労働者を除く)・企業規模10人以上が対象
  • 人数が少ない職種は、細かい順位を読み込みすぎない

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