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ネットワークを整える

専門

QoSを整える。

= 混んだ回線で音声を先に通すしくみ

ネットワークのどこの話? 会社の拠点とインターネットの間の出口など、回線の速さがボトルネックになる場所のルーターやスイッチの話です。回線に余裕があれば出番は少なくなります(帯域の見積もりと対で考えます)。

① 順番待ちを比べる:FIFO と優先キュー(LLQ)

同じ回線に、音声(青)・ビデオ(黄)・ファイル転送(灰)が届きます。ファイル転送が一時的に回線を埋めたとき、音声の待ち時間がどう変わるかを見ます。

ふつうの順番待ち(FIFO)

届いた順に送り出す

待っているパケット(左が先頭)

この目盛で送り出したもの

音声の平均待ち
—
音声の最大待ち
—
音声の捨てられた数
—

音声だけ優先(LLQ)

音声は専用の優先キューに入れ、いつも先に送り出す

待っているパケット(左が先頭)

この目盛で送り出したもの

音声の平均待ち
—
音声の最大待ち
—
音声の捨てられた数
—
音声 ビデオ ファイル 捨てられた

1 目盛を 10 ミリ秒と読むと、FIFO では音声が最大で数百ミリ秒待たされ、途切れたり遅れたりします。音声通話の目安は、片道の遅延 150ms 以下・ジッター(遅れのばらつき)30ms 以下・パケットロス 1% 未満です(Cisco の QoS 設計ガイドの数字)。LLQ は、音声を優先キューに入れて待たせない代わりに、優先キューが回線を独り占めしないよう上限の帯域を決めるのが決まりです(priority コマンドで指定した帯域までは通し、それ以上は捨てます)。

② ポリシングとシェーピング

契約した速度(CIR)を超えて流れてくる通信を、捨てるか待たせるかの違いです。灰色の棒が届いた量、線が実際に出ていく量です。

速度の上限 入力するそばから計算(会社のPCでも、入力は外に出ません)

ポリシング:超えた分を捨てる

シェーピング:超えた分を待たせる

ポリシングは待たせない代わりに、捨てられた通信は再送になります。主に受け取る側(入口)で使い、印を書き換える(マークダウン)こともできます。シェーピングは捨てない代わりに遅れが出て、バッファ(キュー)を使います。主に送り出す側(出口)で使います。たとえば、プロバイダの契約が 100Mbps なのに回線が 1Gbps のとき、出口で 100Mbps にならして送ります。

③ DSCP の早見と変換

パケットに書く「優先度の印」が DSCP です。IP ヘッダの ToS バイト(8 ビット)のうち上位 6 ビットを使い、下位 2 ビットは ECN(混雑通知)です。

DSCP を入れる(数字でも名前でも) 入力するそばから計算(会社のPCでも、入力は外に出ません)
名前
—
DSCP(10進 / 2進6桁)
—
ToS バイト(10進 / 16進)
—
旧 IP Precedence(上位3ビット)
—

AF(Assured Forwarding)= クラス 1〜4 × 捨てやすさ 1〜3。10進値は 8×クラス + 2×捨てやすさ。ボタンを押すと上の欄に入ります。
クラス低(1)中(2)高(3)捨てやすい
AF1x
AF2x
AF3x
AF4x

AF の「捨てやすさ」は、混んだときにクラスの中で先に捨てる順序です(数字が大きいほど先に捨てる)。CS(Class Selector)は昔の IP Precedence と互換の値(8 の倍数)です。目安の使い分けは、音声 EF、ビデオ AF41、呼制御 CS3、ネットワーク制御 CS6、通常 0(既定)。

QoS の流れと、信頼境界

QoS は、次の順に処理していく組み合わせです。

  1. 1

    分類

    Classification

    届いたパケットを、種類(音声・ビデオ・ファイル転送など)に仕分けする。ACL・プロトコル・既存のマークを手がかりにする

  2. 2

    マーキング

    Marking

    仕分け結果を、パケットの印(IP の DSCP、イーサネットの CoS)として書き込む。後の機器はこの印だけを見ればよい

  3. 3

    キューイング

    Queuing

    出口が混んだとき、どの順番で送り出すかを決める(LLQ・CBWFQ など)

  4. 4

    輻輳回避

    Congestion avoidance

    キューが満杯になる前に、少しずつパケットを捨てて送り手に減速を促す(WRED)。満杯まで待つとまとめて捨てることになる

  5. 5

    ポリシング/シェーピング

    Policing / Shaping

    速度の上限を守らせる。超えた分を捨てる(ポリシング)か、待たせる(シェーピング)か

WRED(Weighted Random Early Detection)は、キューが埋まり始めた時点で、捨てやすい印(AF13 のような高い数字)のパケットから確率的に捨てる仕組みです。TCP の送り手は捨てられると速度を落とすので、満杯になってまとめて捨てるより、なだらかに混雑を抑えられます。

信頼境界(Trust boundary)は、「ここから先は届いた印を信じる」という線引きです。ユーザーのパソコンは印を勝手に付けられるので、そのまま信じると、誰でも自分の通信を最優先にできてしまいます。そのため、普通はパソコンの接続口では印を信用せず、スイッチ側で付け直します。IP 電話は例外で、IP 電話が付けた印だけを信用し、その先のパソコンの印は信用しない(上書きする)設定にします(Cisco のスイッチでは mls qos trust device cisco-phone などの機種ごとのコマンド)。イーサネットの 802.1Q タグ内の CoS(3 ビット・0〜7)と IP の DSCP は、境界で対応づけます。

📘 CCNA ではここが問われる(IP Services)

  • QoS が必要な理由:遅延・ジッター・パケットロスと、帯域の奪い合い
  • 分類・マーキング・キューイング・輻輳回避・ポリシング/シェーピングの役割
  • PHB(ふるまい):EF(音声)・AF・CS・デフォルト。DSCP の値の読み方
  • 信頼境界の考え方(Cisco IOS/IOS XE の具体的な設定コマンドの暗記は範囲の中心ではありません)

帯域の見積もりは 帯域、IP ヘッダの構造は IP、トンネルをまたぐ印の扱いは IPsec VPN も参照してください。

たとえると

混んだ道路に「救急車用の車線」を作ることです。道が空いているうちは、救急車も普通の車も同じ速さで走れます。渋滞すると、救急車も一列に並んで待たされます。そこで、救急車(音声通話)には専用の車線を用意して、先に通します。ファイルのダウンロードのような「少し待たされても困らない車」は後回しです。QoS(Quality of Service)は、この「どの車を先に通すか」を決めるルール全体を指します。

このツールは、ネットワーク全体図のここ

  1. 自分の端末
  2. 家・会社の中
  3. 出入口
  4. 建物の外
  5. 相手のサーバー
  6. データセンター
  7. 見る・動かす

全体を見る・動かす(運用・監視)— 混んだ道で、電話など急ぐ通信を先に通す順番決めの話です。

全体を見る・動かすは、道路全体を映す管制室のような場所です。OSI では第2層(データリンク)・第3層(ネットワーク)。

「ブラウザで URL を打ってからページが出るまで」の 10 番目(ページが戻って、画面に出る)で活躍します。

前の段: HTTP 次の段: Wireshark 風の画面で通信を再生・解析

このページに出てくる略語(16語)
  • QoS (Quality of Service) — 混んだ道で、電話など急ぐ通信を先に通す順番決め
  • DSCP (Differentiated Services Code Point) — IP ヘッダーに書く、通信の優先度の値(0〜63)
  • CoS (Class of Service) — イーサネットのタグに書く、通信の優先度の値(0〜7)
  • ToS (Type of Service) — IP ヘッダーの優先度の欄。今は DSCP として使う
  • PHB (Per-Hop Behavior) — ルーターが1台ごとに行う、優先度に応じた扱い方
  • AF (Assured Forwarding) — 優先度を何段階かに分けて、一定の品質で運ぶ DSCP の区分
  • EF (Expedited Forwarding) — 音声などを遅れなく運ぶための、いちばん優先する DSCP の区分
  • CS (Class Selector) — 昔の優先度(ToS)との互換を保つ、DSCP の区分
  • LLQ (Low Latency Queuing) — 音声などを待たせず先に送る、専用の待ち行列を持つ方式
  • WRED (Weighted Random Early Detection) — 道が詰まる前に、一部の荷物をあらかじめ捨てて渋滞を避ける方式
  • ECN (Explicit Congestion Notification) — 荷物を捨てずに、混雑していることを印で知らせる仕組み
  • CIR (Committed Information Rate) — 回線事業者が約束してくれる、最低限守られる通信速度

ほか4語は、略語集で引けます。

ネットワークの略語をすべて見る

ネットワークの全体図を見る

このツールについて

回線が混んだとき、音声やビデオ会議を先に通すための仕組みです。通信の種類ごとに優先順位をつけます。

混んだ回線で 音声だけ先に通すと待ち時間がどう変わるかをアニメで確認し、DSCP の値を ToS バイトに変換できます。帯域の見積もりは 帯域 へ。

主な機能

  • FIFO と LLQ の待ち時間をアニメで比較
  • ポリシング(捨てる)とシェーピング(待たせる)のグラフ比較
  • DSCP を入れて2進数・ToSバイトに変換
  • AF11〜AF43 と CS の10進値の早見
  • 分類・マーキング・キューイングの流れと信頼境界

よくある質問

Q. QoS はなぜ必要ですか?

A. 回線が混むと、音声やビデオ会議は遅延・ジッター・パケットロスで品質が落ちます。QoS で通信の種類ごとに優先順位をつけると、混んでも音声を先に通せます。回線に余裕があれば効果は小さくなります。

Q. ポリシングとシェーピングの違いは?

A. どちらも速度の上限を守らせますが、ポリシングは超えた分を捨て、シェーピングはキューで待たせます。シェーピングは捨てない代わりに遅れが出ます。

Q. EF や AF の DSCP 値は?

A. EF は 46、AF の 10進値は 8×クラス+2×捨てやすさで、AF11=10・AF21=18・AF31=26・AF41=34 です。CS は 8 の倍数(CS3=24・CS6=48)です。

Q. ToS バイトと DSCP の関係は?

A. ToS バイトの上位 6 ビットが DSCP、下位 2 ビットが ECN です。EF(46)なら 46 を 2 ビット左にずらして 184(0xB8)になります。

Q. 信頼境界とは何ですか?

A. 届いたパケットの優先度の印を信じる場所の線引きです。パソコンの印は信用せず、IP 電話が付けた印だけ信用するように設定するのが一般的です。

入力値はURLの「#」以降に入るためサーバーには送信されません。リンクを開くと同じ状態を復元します。

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