ネットワークを整える
専門BGPを整える。
= 組織の網同士が道を教え合う約束
ネットワークのどこの話? 会社の中ではなく、組織と組織のあいだ(インターネットの外側)の話です。会社の中でルーターが道を教え合う話は OSPFを整える、道選びの基本は ルーティングを整える です。
① 5つのASで、宛先への道が決まる
宛先(緑の E)の網へ、他のASから向かいます。「出発」のASから見て、通るASの数(AS_PATH の長さ)が短い道が選ばれます。道を切ったり、別のASに「うちが宛先です」と誤って言わせたりすると、結果が変わります。
出発のASが選ぶ道(AS_PATH)
—
| AS | 選んだ道 | 行き着く先 |
|---|
緑は本来の宛先、赤は誤った広告をしたAS、灰色は到達できないASです。実際のインターネットでは、広告を確かめる仕組み(RPKI など)や、受け取る経路を絞る設定(フィルタ)で、こうした誤りを防ぎます。この図は考え方の説明で、実際の事故の再現ではありません。同じ長さの道は、隣のAS番号が小さい方を選ぶ、という簡略化をしています。
② 経路選択の順番(早見)
同じ宛先への経路が複数あるとき、BGP は次の基準を上から順に比べ、最初に差がついたところで決めます。
- 1. Weight(大きい方)Cisco 独自。そのルーターの中だけで使い、他へ伝わりません。
- 2. LOCAL_PREF(大きい方(既定 100))自分の AS の中で共有。出口を選ぶ主な手段です。
- 3. 自分で出した経路(優先)network や redistribute で自分が発信した経路。
- 4. AS_PATH(短い方)通る AS の数。
- 5. Origin(IGP < EGP < ?)経路の出どころの種類。
- 6. MED(小さい方)隣の AS に「こちらの入口をどうぞ」と伝える値。既定では同じ隣 AS から来た経路どうしだけ比べます。
- 7. eBGP > iBGP(eBGP を優先)外から学んだ経路を、AS 内で回ってきた経路より優先。
- 8. IGP コスト(小さい方)ネクストホップまでの OSPF などのコスト。
- 9. ルーターID(小さい方)最後の決め手のひとつ。
| 基準 | 経路 X | 経路 Y |
|---|---|---|
| Weight | ||
| LOCAL_PREF | ||
| AS_PATH の長さ | ||
| MED | ||
| Origin |
—
初期値では AS_PATH が短い Y が勝ちます。X の LOCAL_PREF を 200 にすると、AS_PATH が長くても X が勝ちます(AS_PATH より上の基準が先に見られるため)。
もう少し知りたい方へ
eBGP と iBGP、そして TCP 179 番
- eBGPは、別々の AS のルーター同士の BGP です。経路を渡すとき、自分の AS 番号を AS_PATH の先頭に足します。
- iBGPは、同じ AS の中のルーター同士の BGP です。外から学んだ経路を AS の中に配るために使い、AS_PATH は変わりません。iBGP で学んだ経路を、別の iBGP の仲間へそのまま再び渡さない決まりがあります(そのため全員をつなぐか、ルートリフレクタなどを使います)。
- BGP の相手(ネイバー)とのやりとりは TCP の 179 番ポートで行います。OSPF のように自動で相手を探さず、ネイバーは設定で指定します(ポートの意味は ポート番号、TCP は TCP で確かめられます)。
- AS 番号の 64496〜64511 は、説明用に確保された番号です。このページの AS は、この番号を借りた架空のものです。
- 実務では、会社が複数のプロバイダにつなぐ(マルチホーム)ときや、クラウドの専用線で使います。
たとえると
全国の運送会社が、お互いに「◯◯町への荷物ならうちを経由できます。中継は2社です」と案内し合っている状態です。荷主は、いちばん経由が少ない案内を選びます。案内そのものは信じるしかないので、うその案内が混ざると、荷物が間違った会社へ流れます。
AS(自律システム)は、ひとつの組織が管理する網のかたまりです(プロバイダ、大企業、クラウド事業者など)。AS には番号がつき、BGP はこの番号の並び(AS_PATH)を使って道を選びます。
試験範囲について:BGP は CCNA(200-301 v1.1)の範囲外で、上位資格の CCNP で扱います。このページは、仕組みを知っておきたい方向けです。
このツールは、ネットワーク全体図のここ
- 自分の端末
- 家・会社の中
- 出入口
- 建物の外
- 相手のサーバー
- データセンター
- 見る・動かす
建物の外の道(WAN・インターネット)— インターネット上の会社同士が、道の案内を渡しあう話です。
建物の外の道は、全国の道路と運送会社の中継所のような場所です。OSI では第3層(ネットワーク)。
このページに出てくる略語(9語)
- BGP (Border Gateway Protocol) — インターネット上の会社(AS)同士が、道の案内を渡しあう決まりごと
- iBGP (Internal BGP) — 同じ AS の中のルーター同士で行う BGP
- eBGP (External BGP) — 違う AS のルーター同士で行う BGP
- AS (Autonomous System) — インターネットの中で、ひとつの組織が運営している道の集まり
- ASN (Autonomous System Number) — AS(インターネット上の組織単位)に付く番号
- IGP (Interior Gateway Protocol) — 1つの組織の中で使うルーティングの決まりごと(OSPF など)の総称
- EGP (Exterior Gateway Protocol) — 組織と組織の間で使うルーティングの決まりごと(BGP など)の総称
- MED (Multi-Exit Discriminator) — BGP で、隣の AS に「こちらの入口を使って」と伝える値
- ISP (Internet Service Provider) — 家や会社をインターネットにつないでくれる事業者(プロバイダー)
このツールについて
インターネットは、会社やプロバイダなどの網(AS)の集まりです。BGPは、AS同士が「この宛先ならうちを通れます」と教え合う約束で、その様子を5つのASの図で確かめられます(送信ゼロ)。
BGPは、インターネットのAS(組織の網)同士が、宛先への道を教え合う約束です。会社の中の道は OSPFを整える、道選びの基本は ルーティングを整える へ。CCNAの範囲外です。
主な機能
- 5つのASの図でAS_PATHの短い道が選ばれる様子
- リンク切断で迂回する様子
- 誤った広告(より細かい範囲を含む)で通信が流れる先が変わる様子
- 経路選択の順番の早見と2経路の比較
- eBGP/iBGPとTCP 179番の解説
よくある質問
Q. ASとは何ですか?
A. ひとつの組織が管理する網のかたまりです。プロバイダ、大企業、クラウド事業者などがそれぞれASを持ち、番号で区別されます。
Q. BGPは会社の中でも使いますか?
A. 会社の中の道は主にOSPFなどを使い、BGPは組織と組織のあいだ(複数のプロバイダへ接続するときなど)で使います。
Q. BGPはCCNAに出ますか?
A. CCNA 200-301 v1.1の範囲外で、上位のCCNPで扱います。
Q. BGPはどのポートを使いますか?
A. TCPの179番です。ネイバーは設定で指定します。
Q. 経路が複数あるとき、何で決まりますか?
A. Weight、LOCAL_PREF、自分で出した経路、AS_PATHの短さ、Origin、MEDの順に比べ、最初に差がついた基準で決まります(Cisco IOSの場合)。
入力値はURLの「#」以降に入るためサーバーには送信されません。リンクを開くと同じ状態を復元します。
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この内容は、研修でも扱っています
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