ネットワークを整える
専門HSRP(予備のゲートウェイ)を整える。
= 出口のルーターを二重にする仕組み
ネットワークのどこの話? 家や会社の中(LAN)から、外へ出る出口のルーターを二重にする話です。出口の先で道を選ぶ話は ルーティングを整える、会社の中でルーターが道を教え合う話は OSPFを整える です。
① 優先度とプリエンプトで、誰が Active になるか
Active は実際に外へ運ぶ役、Standby は控えです。優先度(既定 100)が高い順、同点なら実 IP アドレスが大きい順で決まります。ルーターの電源を落としたり戻したりして、引き継ぎを確かめてください。
| ルーター | 優先度(0〜255) | 実 IP | プリエンプト | 電源 | いまの役割 |
|---|---|---|---|---|---|
| R1 | — | ||||
| R2 | — | ||||
| R3 | — |
Active(外へ運ぶ)
—
Standby(控え)
—
パソコンの宛先:192.168.1.1(仮想 IP)/仮想 MAC:—
できごとの記録
試す順番の例:1) 「Active を落とす」で R1 から R2 に移る。2) 「落としたものを戻す」。プリエンプトが切のままなら R1 は戻れず Standby になる。3) 全員のプリエンプトを入にしてもう一度やると、戻った R1 が Active を取り返す。Cisco IOS の既定は、優先度 100・プリエンプト無効です。
② 切り替わりにかかる時間
Active は Hello を定期的に送り、Standby はそれが途絶えるのを待っています。
既定は Hello 3 秒・Hold 10 秒です。Standby は Hello が Hold 時間(10 秒)届かなかったら「Active が死んだ」と判断し、自分が Active になります。
Active が止まるタイミングによって、気づくまでの時間は 7〜10 秒ほどです(最後の Hello の直後なら 10−3=7 秒、直前なら 10 秒)。その間の通信は途切れます。
HSRPv1 の Hello は 224.0.0.2、v2 は 224.0.0.102 宛てです。v1 のグループ番号は 0〜255、v2 は 0〜4095 です。短くする場合は standby 1 timers 1 3 のように指定します。
③ 仮想 MAC アドレス
パソコンは出口の MAC アドレスを覚えます。HSRP では、Active が変わっても同じ MAC で呼べるように、仮想の MAC を使います。
仮想 MAC
—
v1 は 0000.0c07.acXX(XX はグループ番号の16進)、v2 は 0000.0c9f.fXXX です。
HSRP・VRRP・GLBP のちがい
出口の冗長化の仕組みをまとめて FHRP(First Hop Redundancy Protocol)と呼びます。
| HSRP | VRRP | GLBP | |
|---|---|---|---|
| 作った所 | Cisco 独自 | 標準(IETF・RFC 5798) | Cisco 独自 |
| 役割の名前 | Active/Standby | Master/Backup | AVG(まとめ役)/AVF(転送役) |
| 同時に転送する台数 | 1 台(ほかは待機) | 1 台(ほかは待機) | 複数台(最大 4 台)で負荷分散 |
| プリエンプトの既定 | 無効 | 有効 | AVG は無効(転送役は有効) |
| 優先度の既定 | 100 | 100(Cisco IOS) | 100 |
| 仮想 MAC の例 | 0000.0c07.acXX(v1) | 0000.5e00.01XX(IPv4) | 0007.b400.XXYY |
| 機器の混在 | Cisco 中心 | メーカーが違っても可 | Cisco 中心 |
CCNA ではここが問われる
FHRP の目的と、HSRP の基本動作
- 200-301 v1.1 の IP Services で、FHRP の目的(デフォルトゲートウェイを冗長化する)を理解することが求められます。設定コマンドを細かく書かせる出題は多くありませんが、動きの理解は問われます。
- 設定の例(IOS):
interface g0/0→standby 1 ip 192.168.1.1→standby 1 priority 110→standby 1 preempt。 - 確認:
show standby brief。バージョン変更はstandby version 2。 - 外の回線が切れたときに優先度を下げて Active を譲る
standby 1 track(トラッキング)という機能もあります。 - 同じ LAN で VLAN ごとにActiveを分けると、2台とも働かせられます。VLAN は VLANを整える、冗長な配線でのループ対策は スパニングツリーを整える を見てください。
たとえると
会社の出入口がひとつだけで、そこが閉まると全員が外に出られません。そこで、出入口の門番を2人置き、お客さんには「正面玄関」としか教えません。門番Aが休んだら、門番Bが黙って玄関に立ちます。お客さんから見た玄関は変わらないので、案内を変える必要がありません。
パソコンに設定するデフォルトゲートウェイ(外へ出る出口の住所)が「正面玄関」、HSRP の仮想 IP アドレスがそれにあたります。
このツールは、ネットワーク全体図のここ
- 自分の端末
- 家・会社の中
- 出入口
- 建物の外
- 相手のサーバー
- データセンター
- 見る・動かす
建物の出入口(ルーター)— 出入口のルーターが1台壊れても、別の1台が引き継ぐ二重化の話です。
建物の出入口は、会社の受付と郵便の仕分け係のような場所です。OSI では第3層(ネットワーク)。
このページに出てくる略語(6語)
- FHRP (First Hop Redundancy Protocol) — 出入口のルーターを二重化する決まりごとの総称(HSRP・VRRP・GLBP)
- HSRP (Hot Standby Router Protocol) — Cisco 独自の、ルーター二重化の決まりごと
- VRRP (Virtual Router Redundancy Protocol) — メーカーを問わない標準の、ルーター二重化の決まりごと
- GLBP (Gateway Load Balancing Protocol) — 二重化しながら、複数のルーターに通信を振り分ける Cisco 独自の決まりごと
- AVG (Active Virtual Gateway) — GLBP で、仮想 MAC を配る役のルーター
- AVF (Active Virtual Forwarder) — GLBP で、実際に荷物を転送する役のルーター
このツールについて
会社の出入口が1つだと、壊れたら外に出られません。HSRPは、2台のルーターで1つの「仮想の出入口」を共有し、片方が止まってももう片方が引き継ぐ仕組みで、その切り替わりを手元で確かめられます(送信ゼロ)。
HSRPは、2台のルーターで1つの「仮想の出入口」を共有し、片方が止まっても外へ出られるようにする仕組みです。道選びの基本は ルーティングを整える で確かめられます。
主な機能
- 優先度とプリエンプトでActive/Standbyが決まる様子
- Activeを落とす・戻すときの引き継ぎ
- Hello 3秒・Hold 10秒の切替時間
- HSRPv1/v2の仮想MAC計算
- HSRP・VRRP・GLBPの違いの早見表
よくある質問
Q. HSRPとは何ですか?
A. Ciscoの仕組みで、複数のルーターが1つの仮想IPアドレスを共有し、パソコンの出口(デフォルトゲートウェイ)を冗長化します。
Q. Activeはどう決まりますか?
A. 優先度(既定100)が高い順で、同点なら実IPアドレスが大きい方です。
Q. プリエンプトとは?
A. より強いルーターが戻ったとき、Activeを取り返す機能です。HSRPでは既定で無効なので、有効にしないと戻っても入れ替わりません。
Q. 切り替わるまでどのくらいかかりますか?
A. 既定ではHello 3秒・Hold 10秒で、Standbyが気づくまで7〜10秒ほどです。
Q. VRRPやGLBPとの違いは?
A. VRRPは標準規格でプリエンプトが既定で有効、GLBPはCisco独自で複数のルーターが同時に転送して負荷分散します。
入力値はURLの「#」以降に入るためサーバーには送信されません。リンクを開くと同じ状態を復元します。
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